まず、難解な小説である。全体主義で管理された社会に生きる(存在する?)uによる記録集。遠い過去に一度滅びかけた世界では、緑の壁により秩序が保たれかつ管理された社会が広がっている。
過去の遺物であるマンション部屋よく訪れ煙草を吸うlに会い、惚れ込み、緑の壁の外に暮らす野蛮人(とは言え、それほど野蛮でも
...続きを読むなさそうだ)に会い、自分が正しいと信じ込んでいた世界が恩人によって過剰に管理・抑圧された社会だと気付いていき、、という話。
至る所に数式が出てくるのだが、微分積分(波を平らにしていく)で没個性を表しているよう。
やたら女性に好かれるところからも、理系のこじらせ男子の妄想が入ってるんじゃないか。ザミャーチン自身造船技師でばりばりの理系だ。
村上春樹ぽい。(村上春樹はザミャーチンに影響を受けた、と言っているらしい)
この小説、その後に続くスターリンの抑圧など暗い歴史があるので、重々しく捉えがちだが、案外ザミャーチンは、社会主義への変革に向かうロシアを、案外改革でこんな社会になっちゃったりして笑、みたいなノリで書いたのかもしれない。
カフカの変身も、カフカ自身友人へ音読する際ゲラゲラ笑いながら読んでいたという。
私達は変にかしこまって、ザミャーチン様、ははーっと平伏しすぎなのかもしれないのだ。
そう考えると、この小説は実はこじらせ男子の恋愛小説として読む事もでき、この難しさが少し愛らしく感じてくる。