人がいちばん大事。いますぐに試してみよう。積極的に人の話を聴こう。ワオか、さむなくば失墜を。いつもエクセレントであれ。
(引用)新エクセレント・カンパニー AIに勝てる組織の条件、トム・ピーターズ著、久保美代子訳、株式会社早川書房、2020年、90
いま、私の目の前に2冊の本がある。1冊は、198
...続きを読む3年に発行された「エクセレント・カンパニー 超優良企業の条件(株式会社講談社:大前研一訳)」。そして、もう1冊は、先日、私が書店で「ワオ!」と言って新刊コーナーで見つけてしまった2020年発行の「新エクセレント・カンパニー AIに勝てる組織の条件」だ。著者は、言わずとしれたトム・ピーターズ。まさか、37年の時を経て、私は、伝説の名著「エクセレント・カンパニー」の続編に”再会”できるとは思わなかった。
トム・ピーターズの考えの根底には、いつも「人」がいる。このたび、トムは、カオス状態のテクノロジーの世界でいま現在起きていることを知るべく、100冊を超える本を読んだという。そして、これからの時代に即した組織文化、行動、エクセレントなリーダーになるためのエッセンスを続編に盛り込んだ。特に248ページに記載のある「リーダー就任の宣誓 管理者であり奉仕者であることを誓う」は、私も自身の手帳に書き記しておいた。この宣誓は、トムがAIMで行った副産物だそうだが、これからどんなにテクノロジーが進化しようとも、またどんな職業に就いていようとも、不変的であり、人間重視の原則に則ったあるべきリーダー像のことだ(詳細は本書で)。
1983年発行の「エクセレント・カンパニー」は、私が学生時代に読み漁った一冊だが、当時、少し読みづらいところもあった。しかし、今回の続編は、トムが1998年に発行した「トム・ピーターズの起死回生(TBSブリタニカ:仁平和夫訳)」のように読みやすい。この「起死回生」は、世界23カ国、約400回の経営セミナーの集大成として纏められたものだが、まるで、トムのセミナーを受けているかのような感覚で、読者の心にスーッと入ってくる。このたびの続編も同じようなタッチで書かれており、570ページにも及ぶが、読者を飽きさせることがない。
この続編では、ソーシャルビジネスやIoTにも話が及ぶ。しかし、本書で指摘していることは、いつの時代でも「人間」を第一に考えたトム流のマネジメントだ。例えば、些細なことに気配りをする、リーダーは熱意を持つ、人の話をよく聴く、目の前の仕事にいますぐとりかかるといったトムの指摘は、自分自身の仕事を振り返る良い機会にもなる。
この新しいエクセレント・カンパニーでは、もうすぐ80歳になろうとするトムだけがたどり着いた「エクセレント」へと、道案内してくれる。さあ、読後は、自分たちの仕事で実践しよう。なぜなら、本書に登場する珠玉の言葉たちは、私たちをエクセレント・リーダー、エクセレント・カンパニーへと導いてくれるからだ。
私の青春時代からずっと寄り添ってくれているトム・ピーターズに改めて敬意を表したい。