インフォグラフの「伝えなきゃ!」という使命感をひしひしと感じた本。大航海時代や産業革命など社会環境が変化する中、言葉や教育、生活が違う者同士が接触することが増えていき、ムラ社会なら容易に伝えられた物事が伝わらなくなった。そういうことを背景に生まれたインフォグラフィック―地図、路線図、グラフ、アイソタ
...続きを読むイプ―は、いずれも「何かを伝える」ことを目的として作られた。この本で紹介されたインフォグラフたちは押し付けがましくなく肩肘張ってないデザインで、結果として余計伝わりやすくなっているのではという気がする。ロンドン地下鉄の路線図なんか特に。最初はリアルな地形を再現していた路線図は、極限まで情報をそぎ落として最低限必要な情報だけがはっきり伝わるようにシェイプアップしていったが、GoogleMapの登場で、またリアルな地図に戻っていくという話は大変面白かった。ほか気になった人物は、ベックマップを考案したハリー・ベック、ロンドン都市交通のCIを担い、デザイン産業協会を立ち上げたフランク・ピック、「博物誌」を編んだビュフォン、「百科全書」ディロン、ダランベール、近代グラフを発明したウィリアム・プレイフェア(生き方はグラフ的ではない)、ブリントンのグラフィック・メソッド、アイソタイプを発明したノイラート、ゲルト・アルンツ、マリー・ライデマイスター、wwwの時代を予言したバックミンスター・フラー、バイヤー「ワールド・ジオ=グラフィックス・アトラス」とCCAオーナーのペプケ、ピーター・サリヴァンのニュース図解。終章のビッグ・データ時代のデータビジュアライゼーションについては私はその価値があまりよく分からない、やはりインフォグラフは人との関係に存在し、さりげなく人の理解を助けるものであり、昨今の動的なグラフはまだ発展途上のような気がする。