分極化の果てに人々が相互理解を拒否し始め、攻撃的議論の応酬に疲れた人々が強いリーダーを求め始める時に独裁者が登場する(「民主主義の死に方」)。
コストがかかり、少数のマスメディアは、視聴者獲得のために穏健化する(ホテリングの理論)。しかし、インターネットはコストが安く、少数の読者を獲得するだけで成
...続きを読む立し、むしろ大手がターゲットとしない分布の裾の部分で読者を獲得しやすいため、偏った立場のメディアが登場する。
キャス・サンスティーンは、考え方の似た者同士だけが交流し続けると、次第に意見は強化され、社会は分裂していくことを指摘した(「インターネットは民主主義の敵か」)。
著者らの調査によれば、分極化がみられるのは年齢が高い層であり、ネットをより利用している若年層ではない。ネットの利用開始によって分極度は、むしろ低下する。ただし、政治的に強い意見の持ち主(全体の2割)がツイッターを使い始めると、分極化が進行する。ただし、残りの8割は逆に穏健化する。
異なる政治的意見に接触するクロス接触率は4割前後あるが、分極化が高い人は2割程度になる。クロス接触率はテレビや雑誌の方が低く、選択的接触は、ネットよりもテレビや雑誌において起きている。
ネットで実りのある議論をすることには、47%の人が難しいと回答し、32%の人がネットには不寛容な人が多いと思うと回答している。ネットが政治を良くしていると思う人は5%しかいない。
争点となる話題に関するネットの書き込みの50%は、0.23%のヘビーライターによって占められている。分極度別では、ある争点に対して強く賛成または反対と回答した約2割の人の書き込みが、4割強を占めている。このような状況が、穏健派が発言をためらう萎縮効果をもたらしており、54%の人がネットで自由に発言していないと回答している。