作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
私の心はズタズタにされた。
家族を殺され、復讐をしてやると銃を手にすることから始まるであろう連鎖。
銃社会のアメリカが抱えている問題を子供の視点から、黒人のコミュニティの問題(貧しいあまりにドラッグの売人をやらざるを得ないことや、ドラッグに関わると芋づる式にギャングの問題に繋がること等)、それらを独特の詩の形式で炙り出す。
エレベーターに乗り込んでくる人たちが誰なのか。
一人一人の過去を辿っていくうちに視界が涙で滲む。
涙が止まらなくて、ページは濡れていった。
読んでいてなんとなく予想ができてしまうからこそ、心に重く響く悲劇の数々。
悲しかった。
大事な人を殺されたとしても、自分が怒りでどう -
Posted by ブクログ
おととい兄のショーンが銃殺された。「掟」に従ってぼく(ウィル)は復讐する。ショーンの引き出しから銃を見つけ、ジーンズの腰に押し込む。殺したのはきっとリッグスだ。
アパートメントの8階からエレベーターに乗ると、7階から男が乗ってきた。それはショーンの兄貴分の亡パックだった。6階からは幼馴染の亡ダニが、5階からは亡マーク伯父さんが……。
各階で止まるエレベーターに乗り込んでくる身近な故人たちとの関わりを通して、短絡的な復讐の愚かさに気づいていく少年の物語。
*******ここからはネタバレ*******
横書きで、詩の形で綴られるこの物語は、情報が断片的でパズルを解くように真実が明 -
Posted by ブクログ
兄を射殺された主人公が生まれて初めて銃を握りしめ、復讐を遂げるためにエレベーターに乗りこむ。地上階に降りるまでの間に、主人公は思いもよらない人たちとの再会をしていく。著者は詩人でもあるそうで、詩と小説の中間みたいなスタイル。独特な文章の配置や改行で、深い余韻と意味のつまった余白がそこかしこにある。銃撃が身近にある環境で育ったと思われる主人公は、憎しみの連鎖を止められるのか。物凄くスタイリッシュな映像とアイディアがあれば映画化とかできるんじゃないかって気がする。
誰かを溺死させることを
水が面白がっていないだなんて
どうしたら言い切れる?
(P.161)