格差社会の現代日本において、多様性と包摂が求められている。「一人ひとりのおかれた状況を理解し、家族や地域も含めた関係者たちの作った環境を受け止め、変えていく、自らの意思を十分に表現できない人たちの暮らし、そして権利を徹底して保証する、そんな仕組みづくりがいま求められている」。その中で大きな役割を果た
...続きを読むすのがソーシャルワーカーである。本書はソーシャルワーカーとは何か、日本の資格制度で歪んできたソーシャルワーカーの理論や教育、特に「社会変革」の観点が欠如してしまったことが大きな問題あることを指摘する。社会福祉士や精神保健福祉士と国家資格はできたが、その事によって本来のソーシャルワーカーの働きが見失われている現在、あらためて本来求められる役割を取り戻すには、理解・包摂などにもとづく関係性をとり、連帯して変えていくことが必要であることを一貫して述べられている。様々な現場でソーシャルワークを行っている人達をつないだのが経済学者の井手英策氏というのも興味深かった。