作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
世界でもっとも美しい建物。アルハンブラには、この世のものとも思えない美と深い心の安らぎがある。
スペインのレコンキスタを完成し、スペイン内のイスラム建築を破壊しまくって、キリスト教会に変えて行ったイサベル女王も、アルハンブラは、あまり手をいれていない。
外向きには、キリスト教でスペイン統一を進めた反イスラム強硬派の女王だが、アルハンブラには、あまり外部の人を入れずに、その美しさから1人心の平安を得ていたという。
という美しい場所についての19世紀の旅行記。スペインで外交官をしていたアービングは旅行でアルハンブラにいって、そのまま数ヶ月そこに滞在した。(うらやましい限りだ)
これは、その -
Posted by ブクログ
筆者がグラナダを去るとき、自分まで悲しくなってしまった。ずっと、アルハンブラの物語に耳を傾けていたかったような。そう思わせるのは、グラナダの住人や物語のなかのムーア人たちに対する筆者の控えめな同情や、アルハンブラのわびしさ、美しさ、風の気持ちよさの繊細な描写が、素直に心に響いていたからだと思う。アメリカ人である筆者から見たスペイン人の描写にも惹かれる部分が多かった。
出版は1832年、アルハンブラの管理は適当で、グラナダへの旅は盗賊の危険も伴うような時代。異教徒ムーア人の残した遺産と共に生活をしていたスペイン人たちが、アルハンブラに抱いていた幻想、畏怖。きっと今とは違って、夢と現実、歴史と物語 -
Posted by ブクログ
1832年に出版されたアルハンブラ宮殿への紀行文。前半はグラナダへの旅路とアルハンブラ宮殿の遺跡を描いたエッセイ風の読みもので、これもなかなか旅情豊かで楽しめるが、秀逸なのは後半。アルハンブラで聞き取った様々なムーアの物語、説話を書き留めて、さながらグラナダの遠野物語を読むようだった。
江間章子の解説に「木枯しが吹きすさぶさびしい夜に、燃える暖炉の近くに集まって、村の古老から昔ばなしを聞く」と例えられた雰囲気そのままに、物語自体が持つ素朴な楽しみが滲み出るような小品が並ぶ。最近はジェットコースターみたいなエンタメ小説ばかり読んでいるので、こういう各停列車に揺られるような、おちついた物語が読め