こういう本格的な投資本は久しぶりかも知れない。伝説的なバリュー投資家であるジョン・テンプルトン卿の投資手法を、その大姪にあたる著者が詳細に述べている。悲観の極みで買う、というバーゲンハンターの投資哲学は自分の中で既にマインドセットとして確立されていて目新しいものではなかったが、それでも躊躇いなく実践
...続きを読むするのはなかなか難しいと未だに痛感させられる。テンプルトン卿はバフェット氏と異なりグローバルに投資を行うのに抵抗はなく日本や韓国、中国への投資で成功を収めたことが書かれているが、マクロ的な視野からでなく個別企業を入念に調査し、例えば米国内の同業の企業と割安度を比較した結果としてある国の市場がバーゲン状態であったという様に、あくまでボトムアップ型の投資手法であったことが伺える。またバーゲン品を仕込んだら比較的長期間保有するスタイルだった一方、「〇〇危機」のように突発的なショックの際には特定のパニック効果をとらえる比較的短期の売買も行っており、1つの国や1つの投資手法に縛られない柔軟な姿勢は見習いたいと強く感じた。