新型コロナウイルスの感染爆発がもたらすものとは? かねてより感染症対策の重要性を訴えてきたワシントン・ポスト紙のコラムニストが、“パンデミック後の世界”を見通す書籍。
今日、世界の国々は相互依存を強めている。そして情報革命により、財やサービス、文化など、あらゆることが高速で移動する。世界は開かれて
...続きを読むいて、急速に動いているため、必然的に不安定である。私たちは、そのリスクを意識し、危機に備え、社会にしなやかな回復力を持たせていく必要がある。
今回の危機にうまく対処した国には、台湾や韓国など小さな政府の国もあれば、ドイツやデンマークなど大きな政府の国もある。政府の大きさは重要ではなく、共通点は「有能で、しっかりと機能する、信頼を得た統治がなされている」こと。つまり、政府の「質」の良さだ。
市場には絶大なパワーがある。だが、市場原理だけではやっていけない。私たちは、世界的な競争と技術革新の波に立ち向かわねばならない。その際、スキルを身につけるための職業訓練プログラム、国民皆保険などのセーフティネットが社会にあれば、人々は才能を開花させることができる。
1918年のスペイン風邪の収束後、人々の働き方や社交の仕方はそれ以前と変わらなかった。働くためには職場にいなければならず、他に選択肢はなかったからだ。
だが、今はデジタル経済が普及し、用事の大半は通勤せずに済ませられる。よって、パンデミック前の生活に完全に戻るとは考えられない。
新型コロナウイルスにより、これまで縮まり続けていたグローバルな不平等、、富裕国と貧困国の間の所得差が再び急拡大しつつある。同様に、企業においても不平等は広がる。ビッグな企業は、よりビッグになる。今日の経済では、規模が企業に競争優位を与えるからだ。