作品一覧
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Posted by ブクログ
脳の仕組みや機能について書いた部分は、読みこなすのが難しめ。ここは、はしょって、見ているだけで脳が相手の行動をなぞるように自分の脳が働いているというミラー理論と、相手の気持ちになりかわって感じる一次的こころの理論、間に間接的な事情が絡む二次的こころの理論。機能については、脳の各機能をつなぐ部分が賢いといわれている動物がその内部にあるのに対して、より格段におおきくなって脳全体を包むように灰白質を形作っていること、それが時間を認識する機能に大きくかかわりをもつことを、押さえれば、あとの部分はその通りに読んで、分かりやすく、興味深い。こころがあるということは、神を認識する脳と、人間の作り出した社会の
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Posted by ブクログ
脳の進化を人類学、脳科学、考古学を用いて解き明かす。ホモ・ハビリスとして200万年前に脳の著しい大型化と知能の向上をみた。180万年前以降ホモ・エレクトスは自分を認識できる知識を持った。そして20万年前以降古代型ホモ・サピエンスとして他者の考えを認識できる「心の理論」を身に着けた。10万年前以降初期ホモ・サピエンスとして自分自身の考えについてじっくりと考える内省能力を発達させた。4万年前以降現代ホモ・サピエンスとして自伝的記憶(エピソード記憶)という能力をものにした。そして脳の能力が向上するにつれて、死者を埋葬したり、悼んだり、恐れたりするようになり、その死者の地位が向上して神となり、人口の増
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Posted by ブクログ
「神」がどのように発生したか、という意味ではタイトル通りだが、実際は人類の進化から脳の変化、そして知能の変化に伴って”神”を人類が”文明”を持つうえで必要とした状況を時系列的に説明している。
そのため、人類と神の関わりに至るまでも長いし、特定の宗教について語られることも無い。
あくまでも、人類発達の過程で何故”神”という概念がもたらされたかを脳科学的に説明している。
しかし、太古の民の頭蓋骨からここまで多くの事がわかるのは本当に驚き。
いかにして人類は進化し、意識を手に入れ、狩猟民族から農耕民族に変わり、定住し、文化や芸術を発展させたのかが分かりやすく書かれていて、中学や高校の歴史でも入り口 -
Posted by ブクログ
E.フラー・トリー(1937年~)は、マギル大学医学部博士課程修了、スタンフォード大学修士課程修了(人類学)、スタンフォード大学医学部勤務を経て、スタンレー医学研究所研究部副部長。専門は精神医学。
本書は、2017年発表の『Evolving Brains, Emerging Gods:Early Humans and the Origins of Religion』の全訳で、2018年に出版された。尚、松岡正剛の有名書評サイト「千夜千冊」の1786夜(2021年11月9日)で取り上げられている。
本書は、進化論に基づく脳の進化が神及び宗教を作ったことを主張・説明したものであり、人類史の中で神・ -
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宗教は人類の脳が発達したことによって生まれたことを進化論や脳科学によって説明している。心の理論や自伝的記憶を獲得したことで自分自身の死を意識したことや、来世を創造して祖先を崇拝するようになったことが信仰心を生み、社会の発達によって信仰の対象が階層化され、神々が出現したと説明する。
ホモ・ハビリスは、いずれも知能の源とされる前頭葉の外側部と頭頂葉がひときわ発達させ、賢くなった(トバイアス)(p40)。ホモ・エレクトスは自己認識能力を発達させた。20万年前の古代型ホモ・サピエンスは、他者が考えていることに気づく能力(心の理論)を獲得した。10万年前に、自分について考えている自分について考える内省