主に18〜19世紀のロンドンとパリの状況を、それぞれ別の筆者が書いている。
一般読者向けの軽い読み物と思って読んでいたら、ロンドン編で川北稔氏、「この点については誰それが何々という本で詳述しているので、ここでは省略する」などと、一般読者を置き去りにする学術論文口調を発揮するなど、ああ、一般読者向
...続きを読むけってどういうことなのか、よくわかっていない方なんだなあ、と思った。
近代ロンドン史は経済(マーケット)の中枢としての都市の有り様を示し、一方でパリは、権力に対する民衆の蜂起というテーマで描出される。
パリの「二月革命」については私はロクに知りもしなかったので、本書で雰囲気を観取することができて、ためになった。もっとも、それなら二月革命についての歴史書を読むべきで、このパリ編は都市論でなければならない筈であり、その企図はじゅうぶんに達成できていない結果と思ええた。
まあ、軽い感じの歴史エッセイと思って読んでおけばいいだろう。その枠組み内としては、楽しかった。
けれども、巻頭にロンドンとパリの19世紀の地図を載せて欲しかった。