マスク氏が見据えている遠い未来とは一体どんな世界なのだろうか。彼が稀代の天才であることは間違いない。
1990年代、インターネット勃興期の情報化革命から時を経て、現在に至っているという今の社会。
GAFAMやBATなどの巨大企業が、システムやソフトウェアによって世界を席巻した。
一方、マスク氏が活動
...続きを読むしている拠点は、いわゆる昔ながらの製造業の世界だ。
しかし当然彼が目指しているのは、製造業ではないし、モノづくりだけではない。
大きな目的があってそれを実現するためには、超進化したソフトとハードが必要となるために、同時にそれらを作っているということだと思う。
例えばテスラ社を「電気自動車を製造販売する会社」とだけで認識していると、完全に見誤ってしまう。
例えばテスラであれば「超自動化された自動車工場そのものが事業の核である」とマスク氏自身が豪語している。
別な場所では堀江貴文氏が「テスラの本質はバッテリーマネジメント会社」と言っていたのも核心を突いている。
これだけを見てもただの電気自動車会社ではないのが分かる。
マスク氏は、一つのテクニカルな要素を徹底的に横展開することが特長だが、そこが正に彼の天才と言える所以だ。
実際にテスラの技術は、宇宙ロケットでも、太陽光発電でも、地下採掘でも活かされている。
ソフトウェアを効率的に利用するのはイメージがつかめるが、ハードウェアについてもその技術が横展開されている点が非常に面白い。
特に宇宙事業については、すべて最先端の技術が使われる訳で、それは制御されるシステムから、機器から、実際にロケットに使用される素材にまで多岐に渡る。
この技術は当然テスラの自動車に有効的に活用できるものは多いと思う。
もちろんそれだけでなく、製造のために数々のロボットを作成し、自動化を図る訳であるが、このロボットシステム自体が大きな可能性を秘めている。
如何に人間を介在させずに、ロボットだけで自動化するのか。
これが実現した時には、単なる専門ロボットということでなく、汎用性を持ったロボットが出来上がるだろう。
それはまさにマスク氏の描く未来世界である。
ロボットがロボットを製造し、ロボットがロボットのメンテナンスをする。
それらロボットが数々の自動車やロケットを生み出していく。
マスクが手掛ける事業は、1990年代からの情報化(ソフトウェア)の流れとは、完全に異なるまた別の流れだ。
だからこそマスク氏は事業の核を、全く別の視点で見ていると言えるのだ。
誰が汎用性ロボットを最初に作り出すだろうか。
そこでは難しいハードウェアの部分もあるが、ロボットの頭脳に乗せるAIも大きな要素となる。
マスクはAIの未来について否定的な発言をしたこともある。
しかし一方で、OpenAiの初期段階から関わっていたりと、AIについては我々よりも何手も先を見ているはずだ。
今すぐに汎用型ロボットが出来て、火星に人類が移住することはないかもしれないが、その実現が数十年先程度で実現するとしたら、案外すごい話だ。
もしかするとマスク氏も私自身も生きている間にそんな世界が実現されてしまうかもしれない。
そういう前提でテクノロジーを追いかけていく必要性があるということなのだ。
やはり流れを正しく見ていくことが大事なのだ。
(2023/2/10)