親友がフィリピンで行方不明になった。探しに行ってくれないか。
親友の父親からの依頼が、著者が海外に出るきっかけだった。
冒頭に記された親友探し、次章のエジプトの砂漠をラクダで旅をする
野望(?)は著者がモロッコへ行く前奏曲と言う感じ。
そして、モロッコなのである。しかもロバと一緒の徒歩旅
...続きを読む行だ。
もうタイトルだけでやられるでしょう。読むしかないしょう、
こんな大胆な冒険談は。
大胆にして繊細とでも言おうか。結構、下調べや準備は万端に行って
現地へ赴いているんだよね。そりゃ「行商人になってみたいっ!」
なんて思い付きで出来るようなもんじゃないよな。
旅の間の友となるロバを選ぶところから、著者の動物の対する愛情
や優しさが分かるんだ。
「モカ」と名付けたロバとの旅の途中、荷車の下に住み着いた子猫
「ラテ」、卵かけご飯が食べたいと現地調達した鶏「ブラック」と
「カプチーノ」、立ち寄った村で仲良くなった村人からプレゼント
された鑑賞用鳩の「ウィンナ」、そして増えた動物たちの用心棒
として犬を購入しようとして紆余曲折あって一向に加わった子犬
の「プレッソ」。
著者が「コーヒーキャラバン」と名付けた一行は、行く先で大歓迎
されたり、はたまた邪険にされたりしながら最終目的地を目指して
モロッコの地を進む。
著者が出会った人々は概ね寛大で、ロバと一緒に徒歩旅行をする
酔狂な外国人を受け入れてくれる。そして、著者本人が知らぬ間に
SNSに写真が出回りモロッコでは有名人になっていた。
日本国内でのほほ~んと暮らしている私にとっては非日常だよな、
こういう冒険は。憧れるけど、真似は出来ない。
旅を共にした動物たちのとのお別れのシーンには図らずも涙が
出た。旅を終えた後の動物たちの処遇まで考えてなきゃ、この
ような冒険は出来ないと感じた。
著者の語学力、コミュニケーションズ能力にも目を見張るものが
ある。次作があるのであれば、また読んでみたい。
尚、フィリピンでもエジプトでもモロッコでも、著者は同性愛者
に好かれている。ご本人に自覚はないのかもしれないか、何かその
ような人たちを引き寄せる魅力も持っているのかも?