河出文庫 ケイトラワース 「 ドーナツ経済 」
経済学の役割を 経済成長でなく、貧困根絶と環境保全に求めた本。
経済成長に 全人類の幸せはなく、貧困根絶と環境保全がなされた「人類にとって安全で公正な範囲」を バランスのとれた繁栄の道であるとしている
経済学者に求められる思考
*目標を変える〜成長をめざすのでなく、バランスのとれた繁栄の道を探る
*全体を見る〜市場の効率性でなく、家計、市場、国家、コモンズ(共の役割を考える
*人間性を育む〜合理的経済人でなく、社会的適応人へ人間像を変える
*システムに精通する〜ストック、フロー、フィードバックグループ
*分配を設計する〜所得と富を再分配する
*環境再生を創造する〜循環型経済へ
*成長にこだわらない〜成長しなくても繁栄をもたらす経済へ
目標を変える=GDP成長からドーナツ部のバランスのとれた繁栄へ
*人間の生活の場である経済を豊かにするのでなく、人間の生活そのものを豊かにする
*人間の生活そのもの=ドーナツ部〜人類にとって安全で公正な範囲であり、バランスのとれた繁栄の道
*人類の繁栄は地球そのものの繁栄の上に初めて成り立つ
全体を見る
*市場の効率性を高めるのでなく、家計、市場、国家、コモンズ(共有する自然や社会の資源)の役割を考える
*地球〜許容限界に配慮する〜空きのある世界は終わり、いっぱいに詰まった世界に生きている
*市場〜自由市場でなく、誰がリスクとコストを負い、恩恵を受けるかから再規制を見直す
*コモンズ〜国や市場に頼ることなく、自発的な秩序形成を通して行う
*企業〜株主価値の最大化より魅力的な企業目的が必要
人間性を育む
*合理的経済人(利己的、孤独、計算高く、好みが一定、自然の征服者)でなく
*社会的適応人(社会的、互いに頼り合い、価値観が変わりやすい)へ
*わたしたちは条件つきの協力者(他者が協力するかぎり自分も協力する)が同時に利他的な処罰者(裏切り者やただ乗りする者を罰する)
*ハンナアレント「野良犬は名前をつけてもらうと長生きする」
システムに精通する
*システム(特徴的な行動パターンを生み出す仕方で互いに繋がりあっている仕組み)
*ストック、フロー、フィードバックグループが複雑に絡み合う
*フィードバックグループがストックとフローを結ぶ
*フィードバックグループには、自己強化(正)とバランス(負)がある
*自己強化型は、増大がさらなる増大を呼ぶ
*バランス型は、システムの暴走や内部崩壊を防ぐ
*全人類をドーナツの中に入れるには、「成功を呼ぶ成功」のフィードバックグループを弱める必要がある
分配を設計する
所得と富の再分配をめざし、そのために市場、コモンズ、国家を活用する
西洋の経済は危険なレベルの不平等に向かっている〜資本から生まれる利益の成長が経済全体の成長スピードを上回り、富の集中が起こる
再分配政策
*累進課税と所得移転
*最低賃金など労働市場の保護
*医療、教育、公営住宅など公共サービスの提供
幸せを増進する行動
*周囲の人々とつながる
*体を動かす
*世界に関心を持つ
*新しい技能を身につける
*他者に与える