SFマガジン700収録の一遍がいいな、と思ったので。
まずは短編集から。
数々の賞を取られた作家さんなのに、ちゃんと読むのは初。
SFマガジン700収録の『ホール・マン』はこちらにも収録。
結果、この一冊の中で一番好きなのは『ホール・マン』だった。
静かで、クールで、ちゃんとSF。
ファンタジーじ
...続きを読むゃなく。
というのが素敵。
全体として3種類くらいにタイプ分けできるかなーと思う。
まずは、ああ、これがSFってものだな、というタイプ。
異星人とか宇宙とか。
軽く読めるしこれを(私が好きな)ハードSFと呼んでいいものかは悩むけど、ちゃんとしている。
ちゃんとしているというのは、ファンタジーじゃなくてSFということ
(私の中のファンタジーの定義は、知識ではなく想像力で書かれた架空の世界の作品)。
かつ単純に、物語として、小説として、上手。
アクション多めの短編もあるけれど、ただの活劇ではなく、仕組みがあったりちょっと小気味が良かったり。
切れ味が良い部分がしっかりある。
知性を感じるって言うかね。
私の理想よりはちょっと元気がいいけど、良いと思います。
次のタイプは活劇タイプではないSF。
私が一番好みのタイプ。
『ホール・マン』、そして『無情の月』。
『無常の月』は短編集のタイトルにもなっている作品で、
宇宙とか異星人は出てこないタイプのSF。
発想が素晴らしい。
物語のトリガーである“そのもの”の直接の描写は出てこないのに迫真に迫っている点、
最初よくわからなかった主人公の行動がだんだんと判明し集約していく描き方、
よくできているなあ、と思う。
発想と描き方の両方が良い。
ヒューゴー賞を取ったらしいけど、わかる。
ちょっとダメだったのは、『馬を生け捕れ!』。
コメディなのかな。
コメディなんだろうな。
後書きを読むと、次に私的に「うーん」だった『終末も遠くない』もラリイ・ニーヴンらしいようなので、こういうのも書く人なんでしょうね。
(と調べたらファンタジーもお得意らしい)
まあ好みの問題なんだけど…。
これが最後のタイプ。
ハードSFタイプの物は是非積極的に読んでいきたい。
そしてこのくらいが理論と物語のバランスが取れていていい。
やっぱりグレッグ・イーガンはそのバランスがいまいちだな、と改めて。