日本海、西太平洋で以前より一層過激な行動に出ている中国軍。その最前線で対峙するアメリカ海軍がどのような状況にあるのかを、過去に発生した事件(艦艇のニアミスや、航空機の異常接近など)の詳細な内容と、軍高官へのインタビューから描く本。
かつてソ連と対峙した時には「冷戦」と呼ばれていましたが、その当時はア
...続きを読むメリカ、ソ連ともに最前線での小さなトラブルや事件が本格的な戦闘へ拡大しないようにお互いが守るべき暗黙のルールがありました。
ところが昨今の中国軍の振る舞いには、そのような暗黙のルールは存在せず、アメリカ軍からみると「何をしでかすかわからない」という危機感があり、アメリカ軍がそのように考えざるを得なくなった事例を詳しく紹介しています。
オバマ政権時代の「中国を対話のステージに引き込み、対話によって御する」という考え方は完全に誤りであったと現職アメリカ軍高官が断言していて、「中国相手には決して弱腰を見せてはならない」という方針に変わりつつあります。
かつてのソ連より過激な行動をとる中国軍ですが、アメリカ軍相手にはまだ本格的な威圧には至らない一方で、日本やフィリピンなど太平洋沿岸で中国よりも国力の劣る(と中国が認識している)国相手には、艦艇の体当たりなど容赦ない威圧を加えてきています。
中国相手に主張を通すには、中国が本格的な軍事衝突を躊躇する程度の軍事力が必要ということなのかもしれません。