先日観たドキュメンタリー番組には
マイノリティのための「駆け込み寺」を作りたい
というMTFで女性僧侶になった人が登場していたが、
この本は、
同性愛者であることとキリスト教の信仰は矛盾しないのか
という問題を乗り越えた牧師の自叙伝。
神が私をそのようにお作りになり、祝福されたのだから、
私は私らし
...続きを読むく生きてよい――ということ。
教義の多義的な解釈が成立するなら、
同じ宗教を信じている人たちの中にも、
多様性が認められて然るべき……と言われれば、
確かにそうだし、
様々な人が窮屈さや生きにくさから自由になるために、
立ち位置が違っていても手を取り合い、
連携するのが大切だと思った。
キリスト教の「禁欲主義」「産めよ増やせよ」
「男女はこうあるべき」の、一つ一つを眺めれば、
どれも絶対的な価値ではないとわかるのに、
三つを重ねた途端に
「同性愛やトランスジェンダーは神の意志に反する存在」
という理屈に信憑性が生まれてしまうのは
おかしい(p.182より)――と喝破されたところで、
なんとなくモヤモヤしていた疑問が氷解。
終盤には、著者の大学での講義を元に、
LGBTについての基礎知識というか、
現状に基づく見解が綴られていて、
わかりやすく、ためになる。