ディズニーアニメや映画、ミュージカルなどで広く知られる「美女と野獣」の原作として、前にボーモン版の短編をよみましたが、こちらの方が「元祖」であるようで、ボーモン版は本作を「子供向けに要約したもの」だということが分かりました。
なるほど、大きなあらすじに変化はありませんが、本書の方がディテールまでこ
...続きを読むだわって作られていることが良くわかります。ベルの内面的な美徳や、ベット(野獣)の特性についてなど、設定が良く考えられていて作品世界の「厚み」を感じる一方で、登場人物(種族)の「妖精」の存在が物語を複雑にしているように思いました。
キリスト教圏ならではなのでしょうか、王権と妖精(と、妖精の世界における要請同士の力関係や秩序)が複雑に絡み合っているため、またその説明が一人の妖精のセリフで語られているために状況を理解しづらく、ラストの長台詞部分は一部読み飛ばしてしまいました。
わかりやすく、楽しめるようにアレンジされたアニメ版やミュージカル版などから作品に触れることをお勧めしますが、さらに興味を持った人には「原作」として本書も紹介したいと思います。