テジュ・コールの作品一覧

「テジュ・コール」の「オープン・シティ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • オープン・シティ
    3.8
    1巻2,090円 (税込)
    マンハッタンを日ごと彷徨する、若き精神科医。彼が街路で目にした風景は、屈託に満ちたナイジェリアでの幼い日々、ブリュッセルで移民たちに聞いた苦難の物語と共鳴しながら、時代や場所を超えた大きな物語を描き始める――。PEN/ヘミングウェイ賞ほか数々の賞に輝き「ゼーバルトの再来」と讃えられたデビュー長篇。
  • オープン・シティ

    Posted by ブクログ

    この本を読んで思うのは、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』にも共通する、2001年の同時多発テロの余波についてだ。正直言うと、時代の影響や空気を強く受けすぎているためか、評判は良いようだが、私個人としては面白い話ではない。むしろこうした小説は日本の私小説に近いような気がする。文学的な価値よりも史籍的な価値の方が高い印象が強く、その時代の空気を知りたい人向けの書籍ではある。もちろん、技法に拘泥せずストイックに体験を書き連ねることはとても良いのだが。ゼーバルトに近いのは非常によくわかる。

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    2020年09月13日
  • オープン・シティ

    Posted by ブクログ

    アフリカ系の若き精神科医が、ニューヨークの街を彷徨う。
    自分の心身を落ち着かせようとするかのように、日々歩き進める。家族との確執、過去と現在、アメリカの歴史的背景などが交錯する。
    アイデンティティや世界の多様性について考えてしまう。

    面白かった。

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    2017年12月10日
  • オープン・シティ

    Posted by ブクログ

    『二〇〇一年秋の、生存の望みが消えた殉職者たちの名があり、その数年後に亡くなった人たちの名もあった。さらにその下の艷やかな大理石に広い空白があった。今制服を着ていて死ぬ者たちとこれから生まれて警官として殉職する者たちを待っているのだ』

    語られる言葉が意味するものと意図するものの乖離。字義通りに受け止めるべきなのか、そこに隠された意図を読み取るべきなのか。例えば、心の病を抱える人が訴える悲劇的な出来事は、実際に起きた物理的傷を負わせる事象だったのか、それとも心的障害が産み出す幻覚なのか。自分が告発される側に立たされる過去の罪は、本当に自分が犯したことなのか、それとも自称被害者の妄想なのか。そん

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    2017年09月15日
  • オープン・シティ

    Posted by ブクログ

    勾留施設にいた若者のアメリカに来た経緯の話が壮絶だった。自分にとって現実的ではないけれど、彼にとっては現実だ。世界は広い。
    出てくる人物の思慮深さに自分はあまりに幼稚だと思った。

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    2021年06月04日
  • オープン・シティ

    Posted by ブクログ

    ニューヨークで暮らすナイジェリア系ドイツ人移民で精神科医のジュリアスの目を通して、風景と移民の記憶が重なり合い、都市に生きる人々の営みが立体的に描かれる。そこには隠しきれない支配や暴力の歴史、見解の相違も見え隠れする。

    内省的で静謐な眼差しは「知的」なようで、私には傲慢に感じられ、鼻につくような不愉快さがあった。過去に関わった少女たちへの眼差しは特に。

    人間の内面は複雑だ。なにかに出会い、別れ、常に揺れ動く。
    複雑なものを複雑なままに受け入れる。

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    2024年03月30日

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