世界の崩壊により取り残された異世界人。滅びゆく世界で、彼は不明瞭な明日を模索していた。彼と出会う人々も何かを失っている。しかし、信じるものがある彼らはとても温かい。
何も持たない異邦者は、時に死をも考えた。
それがいつの間にか、とある少女と出会い、彼女の生きる理由であり目的を知る。持たざる彼は、
...続きを読む彼女の行動、言動に孤独を忘れる日々を過ごした。そしていつしか、一人の女の子とふたりで笑いあっていた。
どうしてこんなに笑いが込み上げるんだろう。どうして涙があふれるんだろう。今まで悩んでいたことが、どうしてこんなに簡単に消えてしまうのだろう。
明日のことを考える。なんだ、予定がいっぱいじゃないか。
「ねえ、ニト」とぼくは言う。「また明日ね」
彼女は首を傾げる。流れた髪が銀の糸のようにきらめいた。
「はい、また明日」
ニトは微笑み、そう答えた。