昨年の手術以来、当分継続的に病院のお世話になる身になった。
今一番、自分に必要な本だと思い、手にした。
患者が医療と向き合うサポートをするNPO、COMLで積み上げられてきた成果がまとめられている。
学んだことは、患者も、医療者との良好なコミュニケーションを取るべく努力することだ。
自覚症状と病歴
...続きを読むはきちんとメモをして受診すること。
これからの見通しを聞き、体の変化はよい変化も伝えること。
話はメモに取り、分からなければ何度でも聞いてよいということ。
こんな内容だ。
しかし、そういうことより何より圧倒されるのは、著者とCOML創設者の辻本好子さんの生き方だ。
著者の山口さんは二十代で卵巣がんに罹る。
今から二十年前、患者は自分のことなのに治療方針や状況について知らされることがなかったそうだ。
抗がん剤の壮絶な副作用の中、自分の病状をただしくしりたい、と病気について学び、行動した山口さんの強靭な精神力に驚く。
辻本さんについては、その最期が書かれている。
常に人に配慮する人だったとのことだが、その人もまたガンに罹り、最期を迎える。
こういう活動をしてきた人でも、末期の病の中で揺れ動くのだという事実に、その病の厳しさを思い知らされる。
山口さん自身が卵巣がんの再発をしながら、辻本さんを支え、看取っていくのだが…。
二人の絆の強さと、医療者との関係づくりにより、おそらくこの人にとって良い形で最期を迎えることができたように思う。
家族を看取るとき、あるいは自分が死ぬとき、こんな風にできるのだろうか?
今掛かっている医師にも話しにくくて困っている自分に。
まだまだやらなければならないことは多そうだ。