シェアリングエコノミーの勉強をはじめようと本書を手に取りました。まったく知識のない状態で本書を手に取りましたが、まず第1章でつまずきました。というのも米国のシェエアリングエコノミー企業が多数登場しているのですが、ウーバーとエアー・ビーアンドビーくらいしかわからず、なじみのない固有名詞のオンパレードに
...続きを読む全くついて行けませんでした。でもこれは仕方がないですね。米国人であれば、あ~あの企業だよねということで導入部としては良いのでしょうが、日本人にはとっつきにくいとは思いました。
第2章からはだいぶ一般的な議論に入り、読みやすくなりました。かなり広い範囲の社会経済をトピックとして取り上げているのは好感が持てました。シェアリングエコノミーはGDP統計では補足できない消費者余剰を増加させる、というのは説得力がありました。また自分の主張だけでなく他の有識者の主張も要所に織り交ぜてあり、「なるほどこういう見方もあるのか」という意味で初学者にとっては良かったです。ただ最後まで読んだ感想としては、シェアリングエコノミーは経済の全ての分野にいきわたるわけではなく、特定の条件を満たしている場合に発現するのだというものです。本書によれば、ガンスキーの「メッシュ性グリッド」という呼び名で紹介されていましたが、(1)資産の価値が高く、(2)その資産の使用度が低い、という条件が満たされているとシェアされやすいということでした。第1章の具体例を除けば、(米国企業になじみがない日本人の)初心者にもシェアリングエコノミーを学ぶ最初の1冊になると思います。オススメです。