古墳をはじめとする「墳墓」に着目して、紀元前1世紀~4世紀の中国、朝鮮、日本という古代東アジアのダイナミックな歴史像を描く。当時の東アジアでは、漢王朝など中国の動きを軸に、大小さまざまな「渦巻」が発生するような大きな社会変動のときを迎えており、それぞれの地域で大きな墳墓を造営するといった「つながり」
...続きを読むがみられるとともに、社会の仕組みや信仰といった人の営みの根本的なところでの身体感覚な「ちがい」もみられるということを、考古資料とそれに基づく考古学の研究成果をもとに明らかにしている。
大きな意味で同じ文化圏に属する中国、朝鮮半島、日本だが、古代から「つながり」とともにさまざまな「ちがい」があったということが、古墳などの墳墓を題材として取り上げられており、とても興味深い内容だった。特に、中国や朝鮮半島の墳墓とは異なり、倭の古墳には、墳丘に対する独特の「こだわり」がある一方継続性が弱いことや、副葬品から日常生活と切り離れた存在として機能していたことが窺われることなどの特徴があるということが面白かった。