作品一覧

  • ドルジェル伯の舞踏会
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    1巻660円 (税込)
    上流社交界に群れ集まる人々の恋愛心理のきらめきを、ひだを、投影を、反射を、てらいのない透徹した文体で描いた、天才ラディゲの十九歳の作。その人間心理のロマネスクを玻璃の建築の骨組みと見て「いつまでも目に残るのは、すべてを引き絞って大団円への効果へ収斂してゆく、その光学的構造であった」…三島由紀夫はこう書いた。
  • 肉体の悪魔
    4.0
    1巻506円 (税込)
    第一次大戦のさなか、戦争のため放縦と無力におちいった少年と人妻との恋愛悲劇を、ダイヤモンドのように硬質で陰翳深い文体によって描く。ほかに、ラディゲ独特のエスプリが遺憾なく発揮された戯曲『ペリカン家の人々』、コント『ドニーズ』を収める。
  • 肉体の悪魔

    Posted by ブクログ

    一般的な恋愛物語ではないと思わせる様な文体。16歳とは思えないほどの思慮が成熟した主人公が歳上女性を愛していく様を描いている。勿論思慮が未熟であるとも取れるが、文体のみで主人公の気持ちを想像するのであれば、常識的な世間批判からも苦しめられ、非道徳と道徳を常に真面目に考えている主人公の葛藤が描かれている。それを読者が肉体に取り憑かれてしまっていたと結論付けて了えば其れ迄であるが、愛するが故にマルトに対する姿勢や言葉が冷徹になりエゴイズム化していく様は、人間誰しもが持っている愛情の裏返しである。
     愛しているが故にマルトに自己を投影させ類似性を探っている主人公の想いが何とも可愛くなってくるのは私だ

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    2020年04月05日
  • 肉体の悪魔

    Posted by ブクログ

    某作家さんがオススメしていたので、ずっと気にはなっていたけれど、内容もラディゲという作家も知らず、今の今まで。もっと早くに読みたかった!という思いと、今でないと理解できなかったところが多数あるのではという思いが混在しています。
    恋愛心理をここまで冷静に書けること自体が、異様というか偉業というか。恋愛に陥っている人間の心理を描写すること自体はどこまで珍しくもないと思いますが、全編を通して感じる、どこか冷めた視線がおそろしい。
    好きだとか愛しているだとか、好きだから触れたいだとか愛しているから守りたいだとか、そういう単純な仕組みになっていない人間の心の構造をよくぞここまでという風に説明されて、正直

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    2013年12月26日
  • 肉体の悪魔

    Posted by ブクログ

    あとがき(訳者)新庄嘉章さん曰く『年上の女性との恋愛,その場合の男性のエゴイズム,そのエゴイズムの犠牲となる女性の死』のお話で『少年から青年になろうとする最も動揺定めない過渡期の魂を,冷徹な目で凝視して』るのがすんごいとのことですが,そう表現されているほどありきたりな感じではありません。
    私はこれは優等生のお話として読んだので,俗っぽい設定ではあるけどリアリティがあったしすごく共感して面白かったです。主人公とマルトが共鳴したのはお互い優等生だからだと思うんです。それは戦時中だからだとか,子どもだから女だからという押さえつけではなくて,気質としてのいい子ちゃんがお互いを引き合わせたのではないでし

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    2013年02月28日
  • 肉体の悪魔

    Posted by ブクログ

    友人に熱烈に薦められて読んだ一冊

    ロマンチシズムに溺れずして利己主義に溺れる。

    16歳にしてこの倒錯した価値観が凄い、そりゃあ夭折もするわな。

    原文の華麗な文体で読める人はきっと幸せだろう。

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    2011年12月11日
  • 肉体の悪魔

    Posted by ブクログ

    自分の心理を(発見を?)何の常識にも定説にも預けずに描写しきってるの。作品の評価に年齢は関係ないけどやはり天才とは早熟の人をしていうのだと思うよ。ラスト数行でゴゴゴと音がしそうな程強くどうしようもなく流れる時流と諦念みたいなものに巻き込まれるのを感じた。いや「諦念」じゃないか…?うむ。 「自らを責める者の誠実さしか信じないというのは、あまりにも人間的な欠点である。」ドニーズもめちゃくちゃ面白かった。

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    2010年12月27日

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