とりあえず初版の日付を見てから読んだ。
作詞家デビューののち、雑誌で音楽・映画・演劇・テレビなどの
エンタテイメントの全ジャンルを担当して20年、の人にしか書けない本だと思う。
あらゆる局面から、今のJ-POPが置かれてる状況を分析していて面白い。
この前に読んでいた著作権の本を思い出しつつ読むと、
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今生きている人にとっては、音楽著作権って
まだまだ大きな収入源でビジネスなのだと分かる。
ネットでタダで見る前提になると(K-POPの例を引きつつ)
音楽はどの部分を聴いても耳に残る単純でキャッチーなものになるしかない、
というのが怖い。
ツイッターやらヤフーニュースなどのテキストだけでなく、
音楽も短くて分かりやすくてすぐ楽しめないと、聴いてももらえない。
1枚のアルバムを最初から最後まで順番に聴くなんて
まどろっこしいことはもう出来ない。
ハードの変化、環境の変化、社会の変化で、好みも傾向も変容していく。
流れる情報は膨大になり儲けはすぐに出さなきゃいけなくなり
後任を育てるなんて悠長なことをやってるヒマも旨味もない。
過去から引き継がれる知識と経験とセンスが必要なジャンルなのに
あらゆる場所で受け渡しが行われずに放っておかれて断絶が起る。
エンタテイメントの使命は「感動の伝言ゲーム」
文化=豊か=余剰で切り捨てていたら、
人間が生きていくのに必要な力もわいてこない。
スピードが肝のネットって何だろう、目先の金儲けってそんなに大事か?
なんてことをこの手の本を読むと毎度毎度思う。
そういえば、かなり前にこの人の『ブレイク進化論』というのを読んだな。
これも音楽やエンタメの当時の状況を俯瞰した面白い本でした。