アラムハラドを読んで、これは宮沢賢治をもう一回読み直さなければ、彼を誤解したままに終わってしまう、そうと思って。
やはり、彼は「わかって」しまった人なのだと思う。そして、すべての人を善くするために、理性が彼を突き動かした。どんなつらくても。しかし、彼の身体はそれほど丈夫ではなかった。そこが彼の弱みで
...続きを読むあったのかもしれない。善く生きるためには、まずは生きねばならない。死んでは善く生きられない。
たとえ理解されなくても、粘り強く、何度も。彼は農民と語り続け、死ぬその時まで書き続けた。それが、彼の善く生きた証となって、今も生きている。
はじめの作品は彼の生の声が、物語のように加工されることなく語りつけられている。しかし、年が下るにつれ、それは徐々に洗練され、文語詩に至ってはとても格調高いすばらしいものに仕上がっていると感じる。
自己犠牲や日蓮宗、妹との関係など彼を語る上では欠かせないように、あるいは彼の行動の原因のように語られるが、決してそれらが原因ではない。彼の行動は、彼の善く生きる結果であることを強く感じた。