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Posted by ブクログ
真摯な姿勢が心地よい
高度経済成長期に人びとは、死、そして葬式の体験の共有抜きで、形だけの作法を求めた。
墓に家紋を彫ること、葬儀会場の入り口の門に家紋を飾ることも、高度経済成長期に始まった習慣である。「家」というものが強調されるようになったのだ。
医療技術が今ほど発展していなかった昔は、治療法などが限られていたため、人間は病気や事故なども含めて、ある意味自然に死んでいった。ある点を定めて、ここが死と判定はしなかった。ところが、現代はそれが点になってしまっている。しかし、葬儀が相変わらずプロセスを踏んで行われるのは、遺族や故人と親しい人の心理状態にとっては死が点ではないことを示している。