映画『地球交響曲第三番』の書籍化作品。
この映画にはアラスカで熊に襲われて亡くなった写真家、星野道夫氏が出演する予定だった。本来であれば、作品の軸となる星野氏がいなければ成立しないはずなのだが、次々と起こる偶然の一致(シンクロ二シティ)によって作品は完成される。
星野道夫、ナイノア・トンプソン、ジ
...続きを読むョージ・ダイソン、ボブ・サムなど、世界の各地で同時多発的に、現代の便利さを拒み、古の神話や技法を身につけてゆく様は、シンクロ二シティという言葉では片付けられない、何か大きなメッセージのように感じられた。
肉体を離れて永遠に「旅をする木」となった星野氏。アイヌの言葉では、人に危害を加える熊の神をウェンカムイと呼ぶそうだが、星野氏が最後に出会った熊は、山を司る神キンカムイだったのだと思う。