本書は「ポスト・ジョブズ」のアップルの組織の内部というモノをアップルに勤めたことのある人間に取材に取材を重ねて綴られたものです。その全貌を、元幹部・社員ら数十人の証言で初めて明らかにする貴重な記録。
本書は「ポスト・ジョブズ」のアップルの組織の内部というモノをアップルに勤めたことのある人間に取材に
...続きを読む取材を重ねて綴られたものであると思います。通称「インフィニット・グループ」の中でどのようなことが行われているのか?シリコンバレーの企業のうちでももっとも独自な道を行き、大企業でありながらベンチャー企業さながらの動きのすることのあるアップル。
ジョブズからその「玉座」を譲られ、「オペレーションの魔術師」としてその手腕を発揮する新CEO・ティム・クック。彼の出自や経歴のほかにもまわりを固める幹部社員。「デザイングル」の異名をとるジョナサン・アイブ。iPhoneやiPadのOSのトップであり、またジョブズの元で一貫してキャリアを積んできたスコット・フォーストール。彼ら幹部社員の動向も注目ですが、実際にアップルに勤めたことのある人間の証言もこれまた希少で、「世界でもっともクールな製品を作る」会社で働くということはいかに過酷なことであろうかと。「宇宙に衝撃を与える」にはいったいどのような「集中」した仕事ぶりをしなければならないのかと思っただけで彼らを突き動かすものは「お金」ではないんだな、ということをつくづく感じました。
後半ではアップルを「卒業」した幹部社員。ジョン・ルビンシュタインやアビー・テバニアン。これはびっくりしたのですがトニー・ファデルもアップルを退職していたことには本当に驚きました。
「アップルのモデルは真似するべきではない」
この言葉はシリコンバレーの企業の中でまことしやかにささやかれているそうで、アップルの「卒業生」が他の業界で活躍したサンプルがあまりにも少ないという理由もあるのでしょう。しかし、ジョブズ亡き後のアップルが今後どのような変貌を遂げていくのか?その行く末を占う、という意味で本書は貴重な記録であると僕は考えております。