作品一覧 2023/02/10更新 どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと 試し読み フォロー 日本の童貞 試し読み フォロー 日本の包茎 ――男の体の200年史 試し読み フォロー 1~3件目 / 3件<<<1・・・・・・・・・>>> 澁谷知美の作品をすべて見る
ユーザーレビュー どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと 澁谷知美 / 清田隆之 自分の考え 喧嘩するほど仲が良い、という言葉に違和感があった。自分はどちらかといえば親しい人でも戯れ合いに近い喧嘩はしてこなかったから。この格言の「ほど」という言葉に引っ掛かりがあるのだと気がついた。つまり喧嘩する者としない者の比較であり、喧嘩する者の方が上であるという言外の感覚に違和感を感じていた...続きを読むのだとわかった。自分の周りでこの言葉を言う人は大抵やんちゃなカップルが多かった印象で、その人たちの見下した感じがこの言葉には含まれている。 そういうコミュニケーションを取るかどうかは社会的な関係によって左右される、つまり、常に競争を求められる社会ではイジリやからかいによって笑いと同時にポジショニングが行われる。そういう文脈でこの言葉は使われるのだとわかった。自分は競争しない関係、そういうものを必要としなくても別のコミュニケーションが取れる人なのだとこの本を読んで肯定された気がした。 多様性が今後より認められると、どの分野でもマイノリティであった人は抑圧から解放されるが組織は維持できなくなるだろう。 もうそうなり始めている。だから個人的な仕事にシフトしていく必要がある。 男って〇〇だよね。といった類の言葉が癇に障るのは男を一括りにして個人として見ていないからだとわかった。 人間はそれが問題であるとしても、それを利用することで優位になれるものであれば、積極的に否定はしない。だから男性がフェミニズムについて語ることは立場が弱い。なぜなら何を言っても保身になってしまうから。ただ女性がフェミニズムを語りすぎるのも自己主張ばかりしているように見えるから、男女の分断は進む。 第1章 仮性包茎は加害者にも被害者にもなり得る。 身体のケアをする男はナルシストみたいな呪いが根強くある。 感覚をにぶらせることと男性間の競争関係はセット。 第2章 インセル 自分の容貌などのせいで恋愛相手が見つからず苦悩する男性のこと。 閉鎖的な空間ではひとつの規範だけが力を持ちやすい。重要なのはこの規範に従わなくても生きられるらしいと気づくこと。 権力を握っている人へのいじりは大事。それが風刺となって権力を持っているこの人が権威主義に至るのをせき止める効果がある。 からかう側とからかわれる側の関係が固定化してしまうのは問題。非対称性が生まれることでやられる側に未達の感覚が植え付けられてしまう。 ミソジニー 女嫌い 周囲の人を馬鹿にして「あいつらはバカだから自分と関わる価値がない」と自ら孤立を深めていく。これを自己孤立化と呼び、その背景には期待の未達成がある。本当はそうなりたい、そうなるはずだと思ってるのに実現できないために過剰な行動をとってしまう。 第3章 暴力を振るう人間の多くが被害者意識を持っている。自分はこんなにしているのに相手はしてくれないから暴力で教育したなど。 暴力を受けて育った子供が暴力をしないようになるには、暴力的ではない男性に出会っていた。 →多分暴力を辞められず自分が受けてきた暴力を自分の子供にもしてしまう人も、非暴力的な男性と出会っているはずで、そこから学び取れるか否かの差はなんなのか。関係の深さか、インテリジェンスか。 加害者が行方不明。頭が真っ白になって、気がついたらなどの言い訳はいずれの場合も暴力の原因を自分ではコントロールできない感情に帰属させる形となっている。これは責任を外部化している。 第4章 フィクションとして女性の目。 実在しない女性を相手に女性がどう思うかを思考の中心に置いてしまう。しかし、その女性とは誰なのか?大体は男性自身が自分の経験から作り出した偶像である。 女の子と接する時にどうしたらよい?という質問自体が女性を個人として扱っていない、劣位でみているということ。 自分は相手のことを完全にはわかっていないと意識し続けること。相手にとって一番良いことは何か、私が最もよくわかっているという自覚は相手への支配にほかならない。 第5章 ミソジニーの男には、女好きが多い。 第6章 主語を大きくすれば批判された時に自分が傷つかない。 どうしてタメ口なんですか?と聞く。 正論ではなく、それダサいよという感情論が時に有効な時がある。 Posted by ブクログ 日本の包茎 ――男の体の200年史 澁谷知美 とても良い本! 広告という媒体が包茎への偏見を増長させるに至った日本の歴史について、相当な文献にあたった上で社会批評+ジェンダー論+メディア論などを交差し論じる。 Xでの広告費稼ぎや過剰とも言える文句の数々に踊らされるぐらいなら、信頼し合える関係を構築し言葉を交えコミュニケーションを積む、その過程こ...続きを読むそがジェンダー不平等への地味な一歩となる。 男性間における視線が、劣等感を抱かせ、その卑屈や内面への閉じこもりがミソジニーに繋がる。 Posted by ブクログ 日本の包茎 ――男の体の200年史 澁谷知美 包茎の日本人の歴史の話 ではなく、包茎が男性に及ぼすスティグマに迫る これがめちゃくちゃ面白い 芳醇な文献に触れることは至らなかったが、文章をなぞるだけでも時を忘れてしまうほど ちなみにこの本の話を妻にしたところ、それ脱毛の話に似てると言われた 男性の包茎、女性の脱毛は近いのかもしれない Posted by ブクログ どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと 澁谷知美 / 清田隆之 男性の特権について対談形式で分析した良書。清田さんがよくいる男性の思いを披露し、澁谷さんやゲストの男性がツッコミを入れるのが面白い。読書案内に書かれている本も読んでみたい。 Posted by ブクログ どうして男はそうなんだろうか会議 ──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと 澁谷知美 / 清田隆之 SNSで話題になっていて、編集者の澁谷知美さんの「日本の包茎-男たちの200年史(筑摩書房)」や清田隆之さんの「自慢話でも武勇伝でもない『一般男性』の話しから見えた生きづらさと男らしさのこと(扶桑社)」を読んでいたこともあり、共感することも多いだろうと思い、発売前に注文して読み込んだ。 編者の澁...続きを読む谷知美さんは、「はじめに」のなかで「ぜひ、会議に参加する気持ちで読んで下さい。賛成するところも反発するところもあるかもしれません。が、誰かが苦しんでいる社会よりも、誰もが自由で平等な社会がいいですよね。」と提起され、本書を読みつつも、自分も会議に参加している気持ちになって、考え、学び、そしてなにより自分のこれまでの思考、言動や行動を反省する機会にもなった。 「非モて」の苦しみ、マウンティング合戦、男のカラダ、男性優位社会など、編者2人が6人のゲストと語り合って見えてきた、男たちの「現在」と「これから」を多面的に語り合い、参考文献を紹介しつつ検証していきます。「男バキバキ脳からの脱却」の章で、「男性の中には『女性を征服した』感をセックスに求める人もいるわけですよね。」の指摘では、アダルト漫画やAVなど女性を支配する構図は、旧来から通底する男性優位社会の一端を言い当てた表現にドキッとした。「男性性と暴力」の章の「息子にスポーツを強要する父親たち」では、私自身が子どものスポーツに長年携わってきた経験からも、「親のエゴの押しつけ」や「勝利至上主義」など、私も含めたパートナーと子供たちの過去のスポーツへのかかわりを振り返る機会となった。マチズモ(男性優位社会)を見つめ直し、あらためてジェンダー平等を考える1冊として、是非多くの人に手に取って、お読み頂きたい。 なお、私が購読している雑誌に「明日の自由を守る若手弁護士の会共同代表の黒澤いつきさん」が以下の様な記述をされている。「トップ幹部が維持すべき人権感覚」と題して、(トップ幹部を含む管理者は)絶えず自分の権力性を意識しセルフチェックを怠らない」「『人権が尊重され一切のハラスメントがない職場』づくりは、(管理者を含む)トップ幹部にそうした深慮と高い人権感覚があってこそ可能です」とまとめている点は、本書を別の視点から共有する大切な指摘ではないか。 Posted by ブクログ 澁谷知美のレビューをもっと見る