ローマ帝国の崩壊から、フィレンツェの成立、教皇派と皇帝派の対立、そしてコジモ・デ・メディチの追放と帰還までを本書では描く。新訳ということで活字も綺麗で大変読みやすいのみならず、訳者による精緻な注釈は大変読み応えがある。
学術的な歴史資料としては過不足があるかも知れないが、素人の歴史好き的には大変興味
...続きを読む深く読み進むことが出来た。高校の世界史とかで「ローマ帝国が民族大移動で崩壊した」「カノッサの屈辱と呼ばれる」程度の断片的な知識を補完するには十分な内容だろう。
改めて、ローマ帝国の崩壊と教皇の権力の拡大というのは、イタリア史に暗い影を投げかけているのだと認識させられた。党派対立や貴族と民衆、民衆の中でも社会的地位の上下で何度も何度も繰り返し争いが続けられているのは、読んでいて身につまされるものがある。近年のどこぞの国での衆愚政治を想起させられたのは私だけだろうか?