ニコイチな二人、短命に逝った友を思う、愛憎劇、の三つに分けた文豪達の友情を紹介。短命に逝った文豪との友情録は、切ないの一言。文豪達の途切れ途切れだったエピソードが、誰かとの友情を通して一つの流れとしてまとめられていて面白く読めた。
どれも心惹かれるエピソードだったが、金田一と石川啄木との交友につ
...続きを読むいて知ると、啄木の作品を読み返したり、新しい作品を読んでみたくなった。つらっと数えるだけでも、太宰、荷風、谷崎などと揉めていた佐藤春夫のすっぱりばっきりな気性にうーんと唸りつつ、それだけの対人関係トラブルを繰り広げながらも門弟三千人だし、揉めるための人間関係に事欠かなかった佐藤春夫はよほど魅力的な人なんだろうなあと思う。
太宰治と坂口安吾のエピソード紹介があったが、他のケースと比較して書くことがなさそうだった。太宰を取り上げるなら、檀一雄との組み合わせの方がよさそうに思えたが、文ストと文アルの登場人物を考慮しての取り上げか。