沖縄戦を指揮した八巻参謀の手記。
当初の予定どおり持久作戦に徹して居れば、第五師団の台湾転出がなければ、開戦初期の陣地からの攻勢を自重してれば、など戦いは錯誤の歴史でありことがよくわかる。そして正しい意思決定を組織の中で通そうとするときは意見の合理性の闘争だけでなく政治闘争に勝たねば結果が出ない。
...続きを読む一方でこれ以外の現地の方の体験記を読むとそこにあるにはもっと生々しく血肉の香りがするかのような体験談。
戦争を指揮する側と指揮される側ではこんなにも見える景色が違うものか?と。
#5744 「増加した徒歩部隊の多くは、歩兵的訓練に乏しいものばかりで、そのうえ戦車に対抗する兵器をもっていなかった。せっかく戦線に投入しても、ほとんど全滅の有り様である」
で増加した歩兵部隊とは臨時招集された島民、それも二十歳前に若者を含む人たち。
その人たちの手記と対比して読むと見え方の違いがすごい。
戦場における戦記は命令された側と命令する側の双方で合わせてよまないと実相は見えないなと理解した。