法学と統計の両者の人に裁判でどう統計が使われるかを扱うもので,和書で類書はほぼないのではないかと思う
1章は確率に基づく意思決定の基礎的な内容
2章は,確率や統計をベースにした議論・合意形成について.
科学的であるとは誤差が小さいことではなく,それが正確に見積もられていることなので,その正確さに
...続きを読むついては事実認識は科学的に決定できるが,価値判断はできないといったこと
3章は,検定の考え方などと,法律の「合理的な疑いをさしはさなまい」といった概念との対応を論じる
質の低い証拠は正しい仮説の支持には利用できるが,質の高い証拠で覆されることがあるので,誤った仮説を否定するのには使えないなど
4章は統計が関係する判例の紹介.今は行われなくなっているらしいが法科大学院全国統一適性試験の初期では統計的知識も問われたらしいが,その後後退したようだ
アメリカでの統計の適用事例多く挙げられているが,日本の判例では圧倒的に少ないようだ
また回帰分析などで交絡などの因子を除くといった高度な手法の採用にも差があるようだ
5章は,科学的知識の証拠能力について
民事と刑事での証拠の扱いの違いなどは,自分には有益な知識だった
刑事での自然的関連性や法律的関連性といった条件を科学的知識が満たすか満たすかといった論点の紹介