作品一覧
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4.7本書は、みずからユダヤ人としてアウシュヴィッツに囚われ、奇蹟的に生還した著者の「強制収容所における一心理学者の体験」(原題)である。 「この本は冷静な心理学者の眼でみられた、限界状況における人間の姿の記録である。そしてそこには、人間の精神の高さと人間の善意への限りない信仰があふれている。だがまたそれは、まだ生々しい現代史の断面であり、政治や戦争の病誌である。そしてこの病誌はまた別な形で繰り返されないと誰がいえよう。」 (「訳者あとがき」より) 初版刊行と同時にベストセラーになり、約40年を経たいまもなお、つねに多くの新しい読者をえている、ホロコーストの記録として必読の書である。「この手記は独自の性格を持っています。読むだけでも寒気のするような悲惨な事実を綴りながら、不思議な明るさを持ち、読後感はむしろさわやかなのです」(中村光夫氏評)。なお、写真資料は、電子書籍版では割愛いたしております。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
この本については知っていたけど読むのに勇気が要りそうで数年かけてやっと読むことに決定。それこそ、何度も著者フランクルについて話を聞くことがあり、たまたま見たオンデマンドで、またフランクルだったから私は呼ばれていると感じたのだ。
アウシュビッツ、強制収容所について読むのは怖かったというのが読む前の私。読後、高揚感に包まれた。ナチスの中でもサディスト傾向の強い者が監視員に選ばれ虐待を楽しむ。絶望の中で人はどうなっていくのか。自身も収容所に入れられ、精神科医として人が極限状態に置かれるとどう壊れていくのかを観察していたフランクル。
まず初めになくすのが感情なのだ。私は子ども時代を思い出した。いちいち -
Posted by ブクログ
目をそむけたくなる、でも決して忘れてはならない人類として最悪の歴史。
アウシュビッツで何が行われていたか、読めば読むほどとにかく悲しくて痛々しい。
地獄とはここのことだ。
この地獄の中で、沢山の人間が別々の思いを抱きながら過ごした。
一筋の希望を信じたもの、全てを投げ出した者。
何をするにも気の持ちよう、なんて軽々しい言葉で言うのは失礼だが、結局はそういう事なんだと思う。
心の持ち方について考えさせられる。
自分がこの状況になったら、何を心に持ちながら耐えていくのだろう。
印象に残ったこと
・刑務所内ではヒゲを剃り、健康なふりをしろと教えられる。不健康だと判断されたらガス室に送られるから -
Posted by ブクログ
【概要】
第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるホロコースト体験記録。ユダヤ人の心理学者であり、絶滅収容所に収容されながらも生還した著者が、その体験を心理学的観点からまとめた一冊。
【感想】
2023年に読んだ本の中で最も心に残った本です。
手にとって良かったと心から思える一冊でした。
理由は2つあります。
1つは、ホロコーストの具体的な内容を知ることができたからです。内容を読んでいると現実味が無いほど残虐ですが、80年前には確かに人が人に対して行っていたことなのです。人間は時にそういう行為をしてしまう生き物なのだと知ることができました。
もう1つは、困難に立ち向かう心の持ち方を学ぶことがで -
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Posted by ブクログ
アウシュビッツに収容されたユダヤ人医師の記録。
前半は戦争裁判からわかったアウシュビッツで何が行われたのかの記録。後半は収容された医師とその周囲の人々の心理の変化が克明に綴られている。
ナチスや看守による、胸が悪くなるような残酷さと醜い行動に言葉がない。
もともと粗暴でサディスティックで無教養な底辺の人々を看守に雇っているのも理由のひとつだ。けれど、全員が全員そうではない。高い教育を受け、信心深く、心の優しい(と周囲から評される)人物が、目を疑うような残酷なことを平然と行っている。
戦争がなく、アウシュビッツがなければ、人間とは思えない振る舞いをするとは思えない。そんな人たちがなぜそ