胸が締め付けられる。
出てくる登場人物の誰もが、少しの悪と、沢山の苦しみと愛を持ち合わせていた。
それにしても、悔恨が心身にもたらす影響力の強さよ。
アメリカ(特に田舎)には、素朴さや真面目さが感じられるけれど、それはピューリタンの流れを汲む歴史が脈絡と受け継がれているのだろうと思った。
ヨー
...続きを読むロッパの小説と違い、ヘスターが強い女として描かれているのが印象的だった。
時に牧師や医者に対し、強い意志やその壮絶で孤独、しかし思考が自由に解き放たれた女として、力強く、優しい言葉を発する。
ヨーロッパの小説だと、彼女はもっと弱々しい存在として描かれたんじゃないかな。
最後のラストは薄々感づくのに、その場面に遭遇したくて、はやる気持ちを抑えながらページをめくった。
19世紀の小説だけど、とても読みやすいのは、小川高義さんの訳によるところも大きいと思う。
名著だった。