ユーザーレビュー ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記― 小林和彦 【読んだきっかけ】 著名ブロガーこと、『ちきりん』の日記から派生。 本書を読む前に『統合失調症 愛と憎しみの向こう側』という著書(これまたちきりんの日記から派生)を読んだ。統合失調症を患った妻を支える家族の苦悩な日々を綴った体験談である。 これをきっかけに、統合失調症疾患者側からみた心情に興味を持ち...続きを読む本書を読むに至った。 つまり、疾患者を支える側の感情と疾患者本人の感情を知りたくなり、購入しました。 【感想】 精神疾患を発症した者のイメージは、『怖い』『関わりたくない』『なにをされるかわからない』が強くあったが、これらが偏見だったんだなと実感できる本。 本書を読むきっかけとなった『統合失調症 愛と憎しみの向こう側』という著書ではこのイメージは拭えなかったが、本書によって偏見を払拭できた。 ただ『なにをされるかわからない』イメージは残ってしまう。 と、言うのも疾患者本人も症状が増幅するとわけがわからなくなり、ありもしないことが現実だと思ったり被害妄想が激しくなるようだから。(例えば、通りすがりの赤の他人が自分を殺そうとしてることに確信を得ている、とか) 症状には波があるようで、落ち着いているときは本当にまとも。 まともなときの文章には、クスッとしてしまうとこもあれば、なるほどねと共感することもあった。 著者は頭がいいのか、選ぶ言葉やたとえ話に小難しい本を引き合いに出してくるので、全体的に読みずらかった。 でも、本書を通して精神疾患者のイメージがやわらいだことは確かである。 Posted by ブクログ ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記― 小林和彦 何をもってして異常と正常を分けることができるのか、それが世の中の常識をもってだとするとあまりにも不明確すぎるし、正しいか間違いを瞬時に判断できるのならば道徳など必要ない。 作られた精神障碍者にならないためにはどうすればよいのだろうか。ここから始まると精神異常者判断されやすくなりそうで怖い。 Posted by ブクログ ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記― 小林和彦 ここ一年で一番心揺さぶられた一作。私は、自分もいつか狂ってしまうかもしれないという恐怖におびえ、人はいつでも狂えるのだと確信していて、同時に、おびえている限り来るってしまえないと諦観しているこの愚かさ!を抱えており、そして今関わらせてもらっている生徒に、同じ症を抱えながら”それを表現・説明することの...続きを読むかなわない”お子がおりまして、思いは重く手にとり、読み進めました。 当事者が語る、ということが、いかに重要でありがたいことか。語れないお子の思いなど勝手に当てはめているだけですが、それでも本当にありがたい。 発狂の記録は綿密で、読みながら貰い発狂連鎖したらどうしようなんて馬鹿なことも考えていたのですが、狂いませんでした。はい。しかし追体験する思いでした。精神の描写の、その緻密さが素晴らしい。 「発狂に必要なある種の精神状態とは、ポジティブな、ロマンチックな狂気である。想像力が旺盛で、激しくない性的な人間のみが到達しうる、あと一歩で狂気スレスレの境地、そのとき見えるのが現実の究極的な姿なのであろう」 自分がなぜ発狂するに至らないのか、教えて頂いたような気がしました。いやもう狂ってるかもしれないんだけどそれはそれで良くて。というか、やっぱりすれすれタイプなんだなというのが、当てはまりすぎて怖いくらいでした。まあ少しは頭可笑しいのかもしれん。というところで。 コリン・ウィルソンの「夢見る力」の引用には暴力的な引力を感じました。昨今の自分の中のキーワードがそのままタイトルになっているのも含め、ほうらもう”啓示”を見いだしている!笑 常に既にソフト発狂なわけだ、と思いながらさらに読みました。 作者の分析も素晴らしいです。 「精神病とは、心の病でも脳の病でもなく、その両者の関係が壊れることだと思う」とは慧眼。そして、「化学療法によって脳は治せても心は治せない。…そして、心がいじくられることはないと思えば、安心して精神科に入院することもできる」というのは、今まで自分には思い至らなかった重要な観点だと思いました。ふっとばされた。確かにそうだ。 作者の鋭い視線はあらゆるところで光っています。「もし僕の心が病んでいるのだとしたら、これはうまれたときからそうだったんであって、今更健康な心になりたいとは思っていない。もし今後、僕の心が、僕の脳に、人とは違うプログラムを施してしまったら、それを矯正するのではなく、うまく人と折り合いをつけて、入院せずに暮らしていきたい。発狂せずに陥らずに、脳のプログラムの変換をすることは不可能なのだろうか。これが今後の僕の人生の最大課題だ」 しかしこれは、精神病者と、他人事と、囲ってしまえないことこそが重要なのだと思います。いや、大切なのだと思います。だからこそ、作者の祈りには涙が止まらない。 「今晩もお祈りしよう。僕がおかしくなりませんように。現実的に生きていけますように。僕の周りの全ての人に感謝します」 自分の祈りと寸分違わないからです。 私たちはだだっ広いグラデーションを描いて存在していて、私自身はソフトに発狂し、作者は激しく発狂し、またその間に幾人のひとがいるのでしょう。さらに指針や尺度は有象無象に存在し、つまりは誰もがどうしようもなさをどこかで抱えている。そしてきっと同じように祈っていると思うのです。 だから作者が見た世界や考え抜いていることは宝石のように私たちにも齎される。重要なのではなく大切だと、心から思いました。 序文は既に触れている。だが、狂っているというなら、そうだ、私は狂人の言葉にだって傾倒し涙する! Posted by ブクログ ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記― 小林和彦 統合失調症患者自身が、自身の症状、思考、生活を振り返った。 妄想知覚、妄想着想、連合弛緩、被害妄想、誇大妄想、といった統合失調症の症状、さらに観念奔逸などの躁鬱病の症状が当事者自身の目線でありありと描かれている。 こういった症状は本人からすれば、さも当たり前に起こることであり、防ぎようがないことがよ...続きを読むくわかる。 「裁判時の心神喪失者の行為は罰しない」という刑法39条に対する、統合失調症患者自身の拒否が見られた。精神障害者は法律に基づいた社会生活を営む権利はないという差別に他ならない。 Posted by ブクログ ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記― 小林和彦 思ったより読み応えがあった。もっとあっさりしたものだと思っていた。酷くなっている時の思考はおかしいには違いないのだがそれほどでもなく、普通に読み込んでしまう部分もある。年齢が私と近く読んだ本やアニメの話などが身近で、さらに私も躁鬱を患っているので近況が気になってしまった。令和に入った今、お元気で過ご...続きを読むされているだろうか。また近況を発信していただけないだろうか…… Posted by ブクログ 小林和彦のレビューをもっと見る