これは圧巻です。 新書でここまで書けるとは素晴らしい!
主に1945年以降の日韓関係を記述していますが、事実関係を丁寧に扱いながら、「非対称から対称へ」という独自の見方で潮流を読み解きます。特に優れているのは、日本・韓国それぞれの立場・意識・価値観の違いを、極めて冷静・客観的に分析している点
...続きを読む。これを読むと、隣国であっても、「正義」(約束・合意を守ろうとする「手続き的正義」の日本と、その時の関係当事者が納得する「実質的正義」の韓国)や「歴史」の捉え方で、お互いに大きな違いがあることがわかります。
特に、第4章では、①国力(パワー)の「均衡化」、②体制価値観の「均質化」、③日韓関係の「多層化・多様化」、④日韓関係の「双方向化」、の4つをもとに「非対称から対称へ」を論じるところは納得感があります。
日韓の一人当たりGDPの差では、1970年の7倍から2018年には1.3倍までに縮小。ソフトパワー(文化)の面でも韓国がグローバルに展開し、かつてとは異なる状況になりながら(非対称から対称へ)、日本側の価値観の変化が追いついていないところもあるとも分析しています。
米中対立のなかでは、日韓が手を結ぶほうが得策とのことですが、韓流好きも嫌韓も、「この本を読まずして日韓関係を語るなかれ」と言いたくなるほどの1冊です。