1942年8月9日レニングラード・フィルラモニー大ホールにおける幻の名演。これは凄いドキュメンタリーだ。
1941年9月~1944年1月のレニングラード包囲戦は、これまで戦史や政治史の文脈の中で様々な資料を読んできたが、本書はそれらとは全く異なる戦いの姿を見せてくれた。
戦闘や市民生活が肉体の生
...続きを読む死を賭した戦いであるならば、ショスタコーヴィチの交響曲第7番“レニングラード”を封鎖された状況下で演奏した音楽家たちは精神の生死を賭した壮絶な死闘を戦い抜いたと言えるだろう。
本書を読んだ後には必ずレニングラードを聴きたくなる。そして聴けば、一つひとつの音がこれまでとは違い様々な意味合いを持って響いてくる。
この出来事を調べ上げた著者の熱意に敬意を表する。また、72年前のレニングラードでの初演に関わった方々、残念ながら関わる前に亡くなった音楽家の方々に敬意を表する。