性欲を持て余した亜子の魔の手がオンオフを問わず伸びる20巻である。
イベント的にはバレンタインデーと、マスターの受験&卒業というオフイベントが描かれた回だが、メインは「毎日プロポーズしてくる亜子」というホラー現象だろう。
日付を付けて描かれる物語は、形式的には掌編集に近いニュアンスがある。
...続きを読む 全体で収束していく流れがあり、最後に目立たなかったオンライン方面での衝撃的な結末も置かれているが(なおかつあとがき無しという構成などもよく計算されている……風に見える)、構造的にはキャラ立ちしまくった彼らのオンラインを通じた日常風景とオフラインのイベント模様が細やかに描かれているのである。
復刻イベントを楽しむ彼らや、隙あらばプロポーズを差し込む亜子の抜け目なさと断られて叫ぶ有様などは大変楽しい代物であった。
物語的には、主人公の気づきが見られた終盤など、なかなか見応えがあった。
亜子の成長物語としての気風が強かったこのシリーズで、ルシアン側が成長を遂げる内容は非常に目新しい。
その意味でも物語が終息に向かっていることを感じざるを得ないので、寂寥の感も否めないが、それはさておき本巻の評価は星五つとしておきたいところだ。