「凛として個」
知らなかった、40年ちかくも前にベストセラーになっていたこの本!
でもね、そのころ読んでいたとしても今ほど共感したかどうかね?
つまり中里さんが、今のわたしの年齢でお書きになったからなのではないのかな。
おいらくの恋、とひとくちに言ってもさまざま。
なまなましいのやら、枯淡のやら
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でもこの小説の年齢設定は40代女性と50代の男性。
そこにわたしはうーむと思う。
プラトニックなのだ。
なのだけれども、しかるべくしてプラトニックなのではないところにいろけがある。
なぜ60代も後半に書いた作者が作品の年齢を若くしたか?
いまでは実年齢が年より若くなったという、うがったことではないと思う。
(少々ややこしい言いかただが)
いろけがあるけれどもこの小説の神髄はちがうところにある。
そこがシンクロする。
精神の奥底で恋愛するには、「個」の魅力を輝き出しあっていなければならない。
個の魅力には年齢がない。
でも、いろけがなければ恋愛はなりたたない。
この小説の魅力は中里恒子の凛とした個性のたまものだ。