ユーザーレビュー 女はポルノを読む 女性の性欲とフェミニズム 守如子 女性用ポルノを扱う研究はなかなか見ないので、大変面白かった。女性用ポルノにおける強制性の扱い方のあたりはほんとにスリリングでおもしろい。返す刀で男性用ポルノにおける女性の主体性にも言及するのも見慣れた男性用ポルノについての新たな視点でおもしろかった。 ポルノグラフィーの量的分析が中心なので、なぜその...続きを読むようなポルノグラフィーになるのか?そこにはどんなジェンダーバイアスがあるのか?という言及はあまり多くなかった。次はそのような視点の論考を書いて欲しい。 あとは漫画以外の映像媒体についても女性用AVとか出てきているので研究してほしい。 この手の本が読まれず未だにマッキノンやドウォーキンが幅を利かす日本の謎のガラパゴスフェミニズムはいったいなんなんだろ。 Posted by ブクログ 女はポルノを読む 女性の性欲とフェミニズム 守如子 ポルノを「女性に対する人権侵害」と画一的に決めつける議論が、女性たちの多様な性的欲望を無視していることに疑問を投げかけ、女性向けポルノコミックが何を表現しているか、だけでなく、むしろ女性たちがそれらをどう主体的に読み解いているかに焦点をあてた、実に説得力があり、かつ刺激的な論考だ。 本書が分析の対象...続きを読むとしている女性向けポルノコミックは、いわゆる「レディコミ」と「BL」である。ジャンルとしての成立はBL(当初の名称は「ヤオイ」)の方が早く、女性向けポルノ市場の成長可能性に気がついた企業が、BL作家に同じことを男女の絡みで描いてくれと依頼したのだそう。 この点に関連して、注で引用されている鈴木薫の発言が、私的には実はいちばん面白かった。つまり、女性向けポルノは、女の欲望が本来男に向けられるべきとは想定しておらず、むしろクイアーな欲望こそがベースになっているというのだ。この観点から考えれば、性的「指向」がそもそも男性モデルではないのか、女にはそもそもヘテロセクシュアルな欲望なんてあるんだろうか、とさえ、鈴木は問いかけている。こんなラディカルな議論、はじめて聞いた! と注に激しく興奮してしまったけど、本文の守の議論も十分に刺激的だ。鈴木が指摘しているように、女性ポルノがBLに起源をもつという事実は、男/女の欲望を対ととらえる枠組みを無効化してしまう。そこで代わりに導入されるのが、BLで用いられる「攻め/受け」という関係性であり、P.カリフィアのS/M理論である。ここから、男性向けポルノコミックと女性向けポルノとの比較分析を通して、男性向けポルノが基本的に「受け」の位置にある女性を「見る」主体を立ち上げるのに対して、女性向けポルノにおいてはジェンダーの固定化が比較的緩く、読者の多数を占める女性たちは、「受け」と「攻め」の立場にアイデンティファイしたり、ときに客観視したりしながら、主体的に快楽をひきだしていると論じられている。また、暴力的表現を含むポルノに恐怖を感じることなく、ファンタジーとして安心して消費できるよう、さまざまな技術が駆使されていることが、SM理論を援用して論じられ、そうした安心化の技術が、ある程度男性ポルノにも共通するものであることも指摘される。 女性たちが置かれてきた切実な状況について言語化したフェミニストによるポルノ批判の意義を正当に受けとめながら、一方でフェミニスト自身を閉じ込めてきた男/女のセクシュアリティの二項対立枠組みのもつ限界を明らかにし、そこから解き放たれたフェミニズムがもちうる可能性を示唆する筆者の建設的な姿勢につよく賛同する。カリフィアのSM論はもっと日本のフェミニストに読まれるべきだと、あらためて思う。 Posted by ブクログ 女はポルノを読む 女性の性欲とフェミニズム 守如子 レディコミというジャンルがあることを初めて知った ポルノが女性を抑圧する存在である一方、女性を解放する可能性を秘めているという視点は新鮮だった。 ポルノをまるごと規制してしまうと、女性から見た性の描き方も封殺してしまう。 また、ポルノを批判することで性そのものを悪しき物にしてしまい、結局貞淑な女とい...続きを読むう画一的な価値観に染めてしまう。 フェミニズムは本来、女性のどんなあり方も自由にできることを肯定するべきで、特定の価値観に固定するようなことをしてはいけないと思う。 Posted by ブクログ 女はポルノを読む 女性の性欲とフェミニズム 守如子 第1章がマキノンたちのポルノ批判。 2017/11/03 ひさしぶりに第6章よみなおしたけど、こういうの独特のわかりにくさがあるなあ。 Posted by ブクログ 女はポルノを読む 女性の性欲とフェミニズム 守如子 まぁ当然だけど、性愛に対する一定の共通認識があるとして書かれてるから、スッキリしない感はある。マイノリティは、こんなフラットに論じられてる場でも疎外感。 Posted by ブクログ 守如子のレビューをもっと見る