1974年にバングラデシュで誕生した、貧困層向けに小額融資(マイクロクレジット)を行うグラミン銀行に関して書かれた一冊。
マイクロクレジットとは、貧しい人々を対象に、フォーマルな小額融資を行う仕組みのこと。貧しい人しか借りられず、たいていはグループを作って連帯責任で返済をする。
この仕組みは途上国
...続きを読むで始まったが、先進国にも普及して、アメリカやイギリス、カナダ、ノルウェー、フランスでも利用されている。
バングラデシュのグラミン銀行はマイクロクレジット機関の中で先駆け的な存在として有名になった。
本書は、グラミン銀行の会員の農村女性たちにインタビューをしたフィールド調査結果がまとめられている。
バングラデシュには、「娘を育てることは隣の家の木に水をやるようなもの」という古いことわざがある。
都会の中間層・富裕層は別として、バングラデシュの女性の多くは外出をしない。買物は食料品・日用品・女性用品(下着も!)等々、全て男性(夫)が行う。
貧しくて小さい頃から働かなければいけなかったので教育を受けられず、字が読めないため職につけず、収入がないため家庭内での発言権もない、という女性は非常に多く、そのような女性たちは父親が決めた相手と10代のうちに結婚させられ、その後は夫に捨てられないようにと、ただただ夫に依存した生活を送らざるを得ない状況に置かれている。
そんな女性の自立を助けたのがグラミン銀行。
グラミン銀行の会員として融資を受けるようになったことで、経済的なことももちろん、「知識が増えた」「自信がついた」「友だちができた」といった重要な変化が起こる。
バングラデシュの女性をめぐる環境にはまだまだ課題があるが、マイクロクレジットを利用したことで貧困から抜け出し自立していくバングラデシュの農村女性が増えていくことはとても喜ばしいこと。