≪2023年9月号≫月刊 書店員すず木

≪2023年9月号≫月刊 書店員すず木
この道10年以上のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ1作品を勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!

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今月の書店員すず木賞

少年・青年マンガ

      • ペンと手錠と事実婚 1巻

        ペンと手錠と事実婚 1巻

        中年刑事、切鮫鋭二(40)は、とある事件現場で声を出さない不思議な女子高生、梔子鶫に出会う。 事件の真相をド下手な絵で次々に明らかにしていく鶫に驚く切鮫だったが、突然、鶫から求婚されて―――?早くも各所で話題の歳の差ミステリーラブコメ、第1巻!

        キャラ良し!謎解き良し!恋愛要素良し!と3拍子揃った、雄弁な物言わぬ若き探偵と有能な警察官の本格ミステリー×ラブ!!

        切鮫 鋭二(きりさめ えいじ)40歳は事件が伴侶と言い切ってしまうほど仕事熱心な刑事。
        そんな彼がとある事件現場で出会ったのが、声を出さない不思議な女子高生・梔子 鶫(くちなし つぐみ)です。
        鶫はたまたま遭遇した自殺現場でこれは自殺ではなく巧妙なトリックを使った殺人事件であると、スケッチブックを使った筆談とド下手な絵で解き明かしてしまいます。
        彼女の観察眼と推理力に感服する切鮫刑事ですが、その事件をキッカケに鶫に気に入られてしまい、無理やり婚姻を迫られることに…!!

        年の差22歳の凸凹探偵コンビ(凸凹カップル!?)誕生です!!
        一見ラブコメのようではありますが、其の実しっかりしたミステリ作品です!!

        ミステリ作品の要素として、探偵役と助手役のキャラクターは重要です。
        今作の探偵役は、スケッチブックで会話をする女子高生というかなり特殊なキャラクター。
        しかも、事件解決に繋がるキーとして鶫がイラストを描くのですが、それがとにかくド下手。
        謎解きの前に絵解きが挟まるというのが、斬新です。
        そして鶫ちゃんの可愛さに惹かれファンになる方も多いのでは?
        しかし可愛いだけではないのが彼女の凄いところ。
        もちろん推理力も凄いのですが、特筆すべきはその行動力。
        切鮫刑事に婚姻届けを持って迫ったり、家に押し掛けたり…。事件でも凄惨な現場に臆することなく犯人と対峙するのです。

        助手役の切鮫も魅力的です。
        真面目でありつつも、可愛さがあるのです。(ガタイの良いおじさんではあるのですが…!)
        彼の凄さは、普通だったら女子高生が突然「これは自殺じゃなく殺人事件」と言って(正確には筆談で伝えて)きたら相手にしないところを、ちゃんと向き合って鶫の意見を受け入れるところです。
        鶫も彼の柔軟さと真っすぐな優しさと可愛さに惹かれたに違いありません!!

        ミステリとしてはそこまで難しいトリックではありませんが、物語の構成は本格ミステリのそれですしテンポも良くワクワクしながら読み進められます。
        実写の連続ドラマで見てみたい!!そう思う作品です。

少女・女性マンガ

      • 133cmの景色 1巻

        133cmの景色 1巻

        吉乃華(よしの はな)25歳。食品会社勤務。病気の影響で、小学生の頃に身体の成長が止まってしまった華は、その時と同じ身長のまま大人になった。年齢と外見が乖離していることで「見た目がもたらす生きづらさ」に直面してゆき――。恋も仕事も趣味も……「見た目」に縛られる社会で戦う、生きづらさの物語。

        「見た目がもたらす生きづらさ」や理不尽について…など色々考えさせられる作品ですが、ラブストーリーとしてのドキドキも最高な物語!

        病気の影響で小学生の頃に身体の成長が止まってしまった、吉乃 華(よしの はな)25歳。
        彼女はその133cmという身長のために、心無い言葉を投げかけられたり、失礼極まりないことを聞かれたり、仕事先でナメられたり…数々の理不尽を味わってきました。
        どんな状況でも持ち前の明るさで乗り切ってきた華ですが、自分らしさを失わない会社の後輩である岩見(いわみ)に憧れを抱きます。
        ですが岩見も人には言っていない悩みを抱えていたのです…。
        互いを知り次第に距離が近づいていくふたりですが…。
        正直、低身長であることでこんなに理不尽なことを言ってくる人いるの!?と驚きました。
        理不尽というか、もはや侮辱です!!
        読んでいて心無い言葉を投げつけてくる人たちに怒りを感じましたが、それにもめげず笑顔を絶やさない華に心が痛くなりました。


        彼女の人間としての強さがとにかく魅力的で、彼女のセリフは心に残るものが多く、名言集が作れるのでは!?というくらい。

        中でも個人的に心に残ったセリフをいくつかご紹介します。

        「頭を下げ続けた今までの私に そうさせてきた人たちに 負けてたまるか」

        「人の価値観とか苦労とかって 目には見えないから汲み取るのは難しいよね」

        「私はどうせなら自分や他人の「無い物」探しをするんじゃなくて それぞれの良い面に目を向けていきたいな」


        (レジの女性に対して、あっちの子は可愛いけどあの人はナシだわ~と言った男性に対し)
        「ここにいる人はあなたに評価されるために存在しているわけじゃないよ」

        散々理不尽に晒されてきた華がこれらのセリフを言えるって凄い!
        岩見くんも作中で言っていましたが、彼女の芯の強さにカッコ良さを感じずにはいられません!!

        また、華が憧れる岩見くんも自分自身をしっかりと持っているキャラクターです。
        彼はあまり表情が変わらないことから不愛想と言われがちですが、実は軽い顔面麻痺があり笑顔を作るのが難しいという体質だったのです。

        お互い、周りからはハンデととられそうな見た目の生きづらさを持っていますが、そこに固執するのではなく受け入れていたのでした。

        嫌なことがあると「何故自分ばかり…!」と思いがちですが、この物語を読むと、人は誰しも他人からは知りえない何かと戦っていることに気づかされます。

        今後、華と岩見の関係はラブに発展するのか気になります!
        とにかくふたりには幸せになって欲しい!!そう思える物語です。

こちらもオススメ!!

惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!

書店員すず木

2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。

最近の書店員すず木:実は9月は誕生月でした。

参加させていただいた「CREA夜ふかしマンガ大賞」が発表になったり、「第7回TSUTAYAコミック大賞」が発表になったり、盛りだくさんな月でした~!!

新規会員限定半額クーポンプレゼント