≪2021年3月号≫月刊 書店員すず木

≪2021年3月号≫月刊 書店員すず木
この道10年のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ1作品を勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!

※セーフサーチを中またはOFFにすると、すべての作品が表示されます。

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今月の書店員すず木賞

少年・青年マンガ

      • 九条の大罪 1

        九条の大罪 1

        法とモラルの極限ドラマ、開幕! 国民的ダークヒーロー漫画『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平、最新作! なぜか厄介な案件ばかりを引き受ける弁護士・九条間人(くじょうたいざ)。 鼻炎持ちのバツイチで、ビルの屋上で テント生活をしている偏屈な弁護士だ。 主な顧客は、半グレ、ヤクザ、前科持ちなど、...

        『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平最新作は、ワケアリ者を弁護する悪徳弁護士の物語!!

        「ウシジマくん」は闇金を通じて半グレやヤクザなどアウトローを描いた物語でしたが、今作もアウトローな人間が多数出てくる物語です。
        主人公・九条間人(くじょう たいざ)は、腕利きの弁護士。
        ですが作中の「いい弁護士は性格が悪い。」という言葉とおり、弁護士の姿勢としては受け入れがたい部分があります。
        何故なら、思想信条がなく、法律と道徳は分けて考えることをポリシーとしており、道徳上許しがたいことでも依頼者を擁護するのです。

        最初のエピソードは、飲酒運転に加えスマホゲームによるよそ見運転で父親と5歳の子供を車で跳ねてしまった事件。
        父親は死亡、息子は片足切断という事態に…。
        それに対し九条は犯人の男にアルコールを抜いてから出頭し何もしゃべるなと指示を出します。
        犯人は指示通り20日間黙秘を貫き証拠不十分で釈放され、裁判でも執行猶予付きで実刑なしという判決を勝ち取るのです。
        被害者の立場を考えると胸糞悪いと言える結末です。

        弁護士としては加害者よりも被害者を擁護した方がお金になるのに、悪評が付いて回るのも気にせず加害者側を擁護する九条。
        お金のためではなく別の信条があることが窺えます。
        九条はある意味ダークヒーローと言えるのではないでしょうか。

        世の中の話題性のあるテーマを取り上げたり、後味がザリっとするような物語はさすがの一言。
        九条の淡々と話しを進める様は、ウシジマくんに通じるところがあります。

        連載当初ウシジマくんは客観的視点を持ったキャラクターで事件の中心ではなかったですが、次第に物語の中心となっていきました。
        九条も現在は客観的なポジションで事件と関わっていますが、今後その立場がどう変化していくのか気になるところです。

        個人的に注目しているのが、烏丸真司(からすま しんじ)という九条の下で働くイソベンと呼ばれる「居候弁護士」です。
        烏丸はエリートであり、もっと好条件な環境で働けるにも関わらず、面白いからという理由で九条の下にいるのです。
        九条は代わりものですが、烏丸も相当変わり者と言えます。

        今後、九条と烏丸がどう物語の主軸になっていくのか楽しみです。
        また昨今起きている事件が、この物語で取り扱われるかもしれない…!!という部分でも注目です。

少女・女性マンガ

      • アンタイトル・ブルー(1)

        アンタイトル・ブルー(1)

        日本画家への夢を諦め、家族を養うべく働く荻原あかりは、ある日、海で自殺未遂の男を助ける。 年齢も名前も不明の男から唯一わかることは、日本画のたぐいまれなる才能を持っているということのみ…。 しかもこの男、あかりの名前で自分の絵を売ると言い出して――? かつて何者かになりたかったあなたに贈る、...

        ラブ要素も!?ゴーストライターならぬ、ゴースト画家をめぐるサスペンス!!

        昨今「絵画」に関するマンガの人気が高まっている中、新たな「絵画」物語の登場です!!
        かつては神童と言われていたものの、才能の限界を感じ日本画家への夢を諦めた荻原(おぎはら)あかり。
        彼女はある日海で自殺をしようとしていた男と遭遇します。

        本名も素性も解らない男は臣(おみ)と名乗り、あかりが家にしまい込んでいたかつての絵画や絵の道具を発見し、天才的な絵を描いてみせます。
        そして、その絵をあかりの名前で売りに出して金にしろと持ちかけるのです…!!

        臣の絵はあまりに衝撃で、「あの絵を描くのは自分であってほしかった」とあかりに思わせるほどでした。
        悔しさもあり、認めたくない気持ちもあったあかりは、ギャラリーに自分の作品として男の絵を持ち込みます。
        「売れなければ(評価されなければ)いい」という思いとは裏腹にすぐさま買い手がつき、評価されることに…。
        今まで何百枚と描いても認められなかったあかりは、その事実に複雑な気持ちになるのです。

        絶対的な才能の前に凡人が打ちひしがれる物語や、天才と一緒にいることで磨かれる物語は数多くありますが、この物語はそれらとは若干違っています。
        才能の開花・嫉妬も描かれるのですが、ゴースト画家となってしまったあかりは今後どうするのか…そもそも謎の男の正体は…!?というサスペンス要素が強いのです。

        何者かになりたくてもなれなかったあかり。
        何者でもないものになろうとする臣。
        この二人がどう共犯者となっていくのか今後の展開が気になります!!

こちらもオススメ!!

惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!

書店員すず木

2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。

最近の書店員すず木:運動不足なのを反省して、好きな音楽に勝手に振り付けをして全力で踊ったら全身筋肉痛になりました…。

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