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明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!
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Posted by ブクログ
自分の親さえ知らない主人公は、狩猟を生業とする男に拾われて育った。生まれて此の方生活の大半を山に依存している。街に出ないわけではない。必要最小限のものを買うために遠い街まで出かけるのだ。金がない。狩猟で得た肉や毛皮・山菜等を売り、銃弾、酒米と僅かな物資を買う。主人公の名前は、稚児の頃、狩猟で得た熊の...続きを読む爪で玩んでいたところから「熊爪」と呼ばれる。 作品に登場する熊は、主に「穴無し」「赤毛」で壮絶な激闘シーンが目に浮かぶ。 熊爪自身の生活が過酷なものにも拘らず、山に溶け込み描写が瑞々しく息吹を感じます。懇意な付き合いがある街の取引先の店主は、山の生活に興味を持ってくれるが、熊爪には有難迷惑のようだ。一方でそろそろ街で住まないかと勧められるが、時は明治期で店主は炭鉱の事業に多くの資金を投資している。 店主の店全体に、荒廃前の暗さを感じた。 何かと煩わしい街の生活よりも、不便だが不便なりの山での生活が馴染み捨てられない。 今年の四月二十四日の新聞に以下の記事が掲載された。『いつしか人とクマの立場は入れ替わり、近年は市街地に現れる「アーバンベア」が増えた。ツキノワグマが好むドングリの不足など、背景はさまざまらしい。昨年度は人の被害が約200件を数えた。クマが冬眠から目覚めるこの時節も、人里での駆除のニュースが届いている。(中略) そのクマが先日、指定管理鳥獣に追加された。昨年度はツキノワグマだけで8千頭近くが捕殺された。クマは行動範囲が広く、国内の正確な個体数は把握が難しい。危険だからと殺生を重ねれば、その先に待つのは絶滅だろう(中略)20年ほど前のサラ川から。〈熊が出た熊から見れば人が出た〉』抜粋終わり。 熊爪は、必要だから熊を狩る。必要じゃなければ無意味な殺生はしない。山は誰のものか。 熊の生活を脅かすのは、「人間の惑星」だからか。 読書は楽しい。
熊爪さんの生き様 生まれ育った環境に順応できるか、できないようならどう生きるか。 自分は切り開いて行けるか考えさせられる。 久しぶりに読んだという感触の大きい本でした。
熊文学。緊迫感のある狩の描写が素晴らしかったです。 ゴールデンカムイという漫画でも熊との戦いがよく描写されるのですが、実際はこういう生きるか死ぬかの二択なのだろうなと思いました。 話の本筋ではないのですが、とにかく主人公の狩の相棒である犬がいい子すぎて…。犬好きには特に刺さること間違い無しです。犬文...続きを読む学といっても過言では無いです。
「新たな熊文学の誕生!」と聞いて楽しみにしてた。いい意味で思っていたのと違っていた。「人も獣なのかもしれない。いや、獣なんだ」と感じた。
現代社会で衣食住にそれほど困ることもなく、生々しい生活などしていない、したことのない私でも、生きるために生きた熊爪の気持ちがこんなにも胸に迫る。 太一を助ける場面、熊との対峙、息をするのも忘れて読み進め、熊爪が息をする場面で自分もほぅっと息をする。目の前で起こっていることを見ているような圧倒的な描...続きを読む写にグイグイ引き込まれました。 後半は平家物語の冒頭を思い起こすような栄枯盛衰の中、熊爪の運命に静かに向き合い、見届けたような気持ちになりました。 肉体的、精神的に強かろうと弱かろうと、誰も彼もが風の前の塵におなじなのだと。 ただ、最後に自分で自分を納得できるくらいにはしたい。
ハードボイルド小説でした、始めは。 明治の世。 熊爪という名の男は山奥に住み、猟をして暮らしている。自分が食べて、残りの肉や毛皮などは町に売りに行き、米や銃弾を買う。その暮らしが熊爪の全て。それ以外の行動、感情はすべて無駄なもの。 しかし、町へ出るということは他人と関わるということ。その関わりの中...続きを読むで熊爪の中の何かが少しずつ変わっていく。温もりがほしいとさえ感じ始める。 ハードボイルドだった小説がここから急に湿度を持ち始めます。変わり始めた自分が、何者なのか分からなくなってくる熊爪。そんな自分は、はんぱもの、でしかないのか? “ともぐい“とは、獣同士のことなのか、獣と熊爪のことなのか、いやそうではなかった‥‥ 圧倒的な力強さで読者の心を掴んで離さない、そんな作品でした。
陽子をもらうタイミングがもう少し早かったら、ラストはどうなっていたのだろうか。未来に思いを馳せる気持ちが芽生えたところで、この結末はせつなかった。自然や猟の描写が超リアル。特に太一への応急処置は、もうすごかった。熊爪の雪解けような感情の変化を追うのが楽しかった。
わたしも北海道生まれなので、100年前の北海道が舞台というので、気になり手をとりました。 身体も心体も痛々しく、苦しかった。 野蛮さや過酷さ寡黙さ、静かな迫力、人間性を超えた生命らしさも感じ、変な汗をかきました。 養父から地道に山での暮らしやマタギの教えを受け継いで、たったひとりで山で生きた熊爪...続きを読む。 空を見上げ、風を読み、生き物の匂いを感じ、細かい音を聞き分け、山や生き物、自然を熟知している熊爪。 ときどき山を下りて町で狩猟した肉を売って、米や銃の弾を買う。 人が死んだら棺桶ごと燃やして灰になるより、山で死んで鳥や動物の餌になる死体のほうが役に立つと考える熊爪。 ところが熊爪は大怪我をして町の人々や医者にしばらくお世話になる。 そこに安心安定の炭鉱の仕事の誘いがくるが、熊爪はもちろんNoと思いたい。 しかし時代の変化によって、生きる概念全てから考え、悩んでいく熊爪。 怪我が回復した熊爪は久しぶりに山奥の自分の小屋に戻ったシーンで「俺は、まだ、こっち側だ」と自分に言い聞かせているような、心の揺らぎもありました。 基本的にセリフが少ない分、動作や仕草、こころの声などであまり喋らない熊爪の想いが常に優先され描かれていました。 最後の小屋から離れて行く陽子のシーンで、顔の表情があまり描かれていなかったのは、ボヤけているからだと思いますが、スッゴイ気になって後を引きます。 作家の河崎秋子さんが男性主人公で描いた最後の女性像でありことに意味がある気がしました。 熊爪は完全な自給自足ではないので、東出昌大のような生活と思えば、こんな山男は本当に居てもおかしくないですね。
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たち...続きを読むの業と悲哀が心を揺さぶる、河崎流動物文学の最高到達点!! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 直木賞受賞作ということで 普段なら読まないだろうけど読んでみた。 獣の生態や猟師を生業とする男の生き方や 仕留めた獣の裁き方など、詳しく書かれてて 興味深く読んだ。 怪我をした男の処置のシーンは生々しく 想像した。母に話したら拒絶されたけどw どんな結末なんだろうと読み進めていき 終盤、はんぱもんになってしまった以降の 展開は思ってた感じとは違ったけど・・・ そこで終わらず、それぞれのその後まで 書かれてたのはすっきりした 終始、犬が利口だったな
まさにその圧倒的な描写力でした。 雪深い山々、動物たちの息吹、人間の体温まで、ありありと目に浮かぶような描写は、読者を物語の世界へと引き込みます。特に、熊との闘いのシーンは手に汗握る迫力です。 しかし、暴力的な描写やグロテスクな表現があるため、賛否両論が起きると思います。
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