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霊南坂の名家に生を受けた敷島四兄弟は、異なる道を歩んだ。奉天総領事館に勤務する外交官、太郎。満州で馬賊を率いる、次郎。関東軍の策謀に関わる陸軍少尉、三郎。左翼思想に共鳴する早大生、四郎。昭和三年六月、奉天近郊で張作霖が謀殺された。そして時代の激流は彼ら四人を呑みこんでゆく。「王道楽土」満州国を主舞台に、日本と戦争を描き切る、著者畢生(ひっせい)の大河オデッセイ。(解説・馳星周)
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Posted by ブクログ
膨大な資料をよくぞここまで調べ上げたと感服しています。 歴史の本筋を見通す力がすごい、戦後最大の歴史小説だと思います。
船戸与一って読んだことないし、全9巻だし、1巻目にしたってかなりの厚さだしと、何となく読み始められずにいたのに、読み始めてみたら面白くてあっという間に1巻目を読み終えた。 一郎、次郎、三郎、四郎という手抜きで名付けた……のではなく名前にヘタに意味をもたせたくないという自由主義者でそこそこ高名な建築家...続きを読むの家に生まれた四兄弟の昭和3~4年頃の日々が描かれる。一郎は外交官、次郎は馬賊、三郎は軍人、四郎は早大生というバラエティ豊かで2巻目以降も面白そう。四郎が若さゆえかスキだらけで危なっかしく先が楽しみ。
一巻は単行本でも読んだのだが、本作が船戸さんの遺作になってしまったこともあり、もったいなくて途中で読みとどまっていた。よし、読むぞと意気込んで再読。場の情景がありありと浮かび、4兄弟それぞれがその時代の政治に巻き込まれていく序章の一巻。まだ何冊も続きがあるから、まだみんな動いてくれるはず。いろいろな...続きを読む視点で時代の狭間を覗く、しかもその視点は兄弟なので互いに異なる立場でありながらも、気にかけているのがいい。兄弟なので、がないと異なる他者の存在を自分に置き換えづらいのかもしれない。つまり船戸氏の戦略が成功している。完結しているんだということが嬉しくもあり悲しくもあるけれど、自分の中でもようやく完結に向けて動き出した。
1928年~1945年の17年間の満州の歴史。登場人物4兄弟の視点で語られる。満州事変から第二次世界大戦終結までの流のなかで、南京事件、張鼓峰事件、ノモンハン事件、葛根廟事件、通化事件と有名な事件が次々と起こり、4兄弟それぞれの立場で事件と向き合う様子が描かれる。満州の歴史を詳しく知らなかったので、...続きを読む勉強になった。何が正しくてなにが正しくないのかなんてだれにもわからないと感じた。
なんとも言えない存在感を放つ文体に、迫力のストーリー運び。 物語は、まだきっと序章もいいところなのだろうが……敷島四兄弟の魅力にガッツリ鷲掴みにされてしまった。 満州事変前夜の中国。 続きが楽しみ。 全9巻のこの作品……食傷せず、かつ間延びさせ過ぎて飽きてしまわずに読み進めるには……2ヶ月に...続きを読む3冊ペースくらいがよかろうかしら? ★4つ、8ポイント半。 2016.11.25.新。
最初の方、あまり話に入り込めなかったし途中で少し中だるみしてしまったものの、全体を通して言えば面白かった。 物語の軸となる敷島四兄弟。 順番にそれぞれの物語が進んでいくが、ごちゃごちゃになることもなく読みやすい。 この兄弟達を通して、当時の日本の情勢がよくわかる。 そしてこの四兄弟の前に順番に現れ...続きを読むる謎の男、間垣 徳蔵。 この男の存在が不気味で、物語を面白くさせている。 今後、この男と四兄弟がどう関わっていくのか、楽しみだ。 そして、本文の途中に、印象的な一行がある。 "日本人は理論というものから遠ざかろうとしている。一時的な感情のみが行動の基盤になりつつある。"と。 これ、今も同じ。 現在だって自分たちの目的の為に理論や手段を選ばずに行動し、声を大にしてそれを主張する。 つまり、この昭和三年当時(物語の中では、そうなっている)と変わってない。もしくは一周回って、戻ってきてしまったのか。だとしたら。。。
船戸与一さんの遺作となってしまった「満州国演義」シリーズ第一作です。 外交官、満州の馬賊の頭領、関東軍、左翼思想に共鳴する学生、異なる道を歩む敷島四兄弟を主人公に、激動の時代を描ききった全九巻に及ぶ超大作。 文庫本になるのを待ってました(^^) 第一作は主な登場人物が出揃い、徐々に戦争へと向かう日本...続きを読むと満州で、その流れに巻き込まれていきます。 まだほんの入り口という感じですが、これぞ船戸与一作品!という雰囲気なので、次巻以降に期待が膨らみます。 この作品は2007年に初版が出たんですが、戦争へと大きく一つ舵を切った今の時代にこそ読まれるべき作品だと思います。さすが船戸与一。 癌との闘病の中で書き上げた執念の大作、じっくり味わって読み進めたいと思います。
満州国演技シリーズ第一巻。 ページから砂塵が舞い熱い風が吹く。 強烈なインパクト。 これぞ船戸作品といった冒険小説の幕開け。 この先続くシリーズが早く読みたいけれど、読み終わりたくない。
昭和三年の張作霖爆殺事件前後の満州を中心に描かれる。 不況下、満州が唯一の不況脱出の望みとなる。 当時の人々は、満州に明治維新時の日本を重ねて見ていた様に思える。そんな雰囲気の中での陸軍の暴走。 集められた?敷島4兄弟それぞれの道はどう重なり、どのような運命をたどることになるのか?この先、興味津...続きを読む々。
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