堀田善衞の作品一覧

「堀田善衞」の「ゴヤ」「広場の孤独」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 広場の孤独 漢奸
    -
    1巻495円 (税込)
    【第26回芥川賞受賞作】朝鮮戦争勃発にともない雪崩のように入ってくる電文を翻訳するため、木垣はある新聞社で数日前から働いている。そこには「北朝鮮軍」を“敵”と訳して何の疑いを持たぬ者がいる一方、良心に基づき反対の側に立とうとする者もいた。ある夜、彼は旧オーストリー貴族と再会し、別れた後ポケットに大金を発見する。この金は一体何か。歴史の大きな転換期にたたずむ知識人の苦悩と決断。日本の敗戦前後の上海を描く「漢奸」併収。
  • 広場の孤独
    3.5
    1巻220円 (税込)
    朝鮮事変を契機として、再び動揺しはじめた世界情勢のなかで、当時、日本の誠実な知識人は、どのような方向へと動かんとしていたのか――。日本脱出を夢みる木垣が、去就を決する、まさにその土壇場まで来て、初めて日本人としての自覚に到達しながらも、なおたゆたわざるを得ない孤独な姿を、清新なタッチで描きあげて、異常な感動を与えた、昭和二十六年下半期の芥川賞受賞作。
  • ミシェル 城館の人 第一部 争乱の時代
    3.0
    1~3巻715円 (税込)
    不朽の名著「エセー」の著者モンテーニュはどのようにして自らの精神を確立していったのか。彼が生きた16世紀は後にルネサンスと呼ばれたが、この時代はまた、イデオロギー抗争が渦を巻き、暴動、虐殺、陰謀がうごめく時代でもあった。モンテーニュは、樅の巨木の生い繁る城館で、自らの思想を深めていった。長編“モンテーニュ三部作”第一部。和辻哲郎文化賞に輝く名作。
  • ラ・ロシュフーコー公爵傳説
    -
    1巻825円 (税込)
    「太陽も死もじっと見詰めることは出来ない」(『マキシム』)17世紀のモラリスト、ラ・ロシュフーコー。深く鋭いシニカルな人間洞察から生まれたその著書、『マキシム(箴言集)』は、今日まで広く読み継がれている。争乱の世紀に名門貴族として生まれ、戦闘と陰謀と恋愛に明け暮れた彼が、なぜ厭世的な思想を持つにいたったか? 波乱の生涯を、文明と歴史を軸に描く評伝小説。
  • 上海にて
    4.5
    1巻495円 (税込)
    1945年3月。東京大空襲の後、日本の敗色濃いにもかかわらず、上海に渡った青年がいた。堀田善衛、27歳。彼はこの国際都市で祖国の敗戦を経験する。国民党に徴用されて、その後1年ほどを上海で過ごした彼が見たものとは――。国民党の腐敗、勃興する共産党。迫り来る内戦、そして革命。本書は10年後に上海を再訪した著者が透徹した視座で上海と中国とを語る、紀行エッセイの歴史的名作である。
  • バルセローナにて
    4.0
    1巻407円 (税込)
    スペインを旅し、住まうこと20数年。人間がこの地にしるした歴史を冷徹に見据え、自らの魂の遍歴を語る連作小説集。幼い子供が歌う赤旗の歌、ムッソリーニの失業対策によりフランコ側で闘った老人の話等、今なお残るスペイン内戦の影を見つめた『バルセローナにて』。アラゴン、カスティーリア両王国の王位継承者、狂女王と呼ばれたフアナの数奇な運命を辿る『グラナダにて』他一編。
  • キューバ紀行
    4.7
    1巻495円 (税込)
    「祖国か、死か、われらは勝つ」至るところで見受けられるこの標語には、キューバ革命の切実さがこめられていた。独特の人種構造と砂糖生産に限定された経済構造。それがつくりだしたキューバの人々の気質。政治的にも経済的にも大国の影響下にあった国家の、宿命からの脱出の歴史に、20世紀後半の最大の特徴を見る。国家と国家の支配関係における本質的な問題を見据えた紀行文学の最高峰。
  • 若き日の詩人たちの肖像 上
    -
    1~2巻605~715円 (税込)
    北陸の没落した旧家から骨董を学費がわりに持って上京した少年は、その夜雪の東京の街に響く銃声、血ぬられた2・26事件に遭う。暗い夜の時代をむかえる昭和初年に目覚めた青春の詩情と若者の群像を描く長篇(第一部・第二部)。
  • ゴヤ I スペイン・光と影
    3.9
    1~4巻715~770円 (税込)
    『巨人』『裸のマハ』等で知られる画家フランシスコ・デ・ゴヤ。1746年、荒涼としたスペイン北東部に生まれ、17歳でマドリードへ。下絵描きを経て、宮廷画家の地位を得るが……。大病や相次ぐ子供の死と、苦難に満ちたゴヤの82年の生涯を、数々の絵画・版画作品と共にたどる。著者の並々ならぬ情熱と、徹底した踏査に基づく長編評伝。第1巻では、ゴヤ40歳までを描く。大佛次郎賞・ロータス賞受賞の傑作。
  • バルセローナにて

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    『――なんという天気だろう。 と、思わず私が声に出して言っていた。』-『アンドリン村にて』

    「ABC殺人事件」を読んでいたら思いがけず堀田善衛に出会ってしまったので、積んであった一冊を手に取る。一九九四年出版の文庫本。すっと、まさにそんな表現が適切な印象で、堀田の文章がこちらの懐に入って来る。当然の事ながら推理小説の翻訳文とは全く異なる類の、心象風景を立ち上げる力のある文章。スペインに老後の人生を置きに来た著者の心情がしみじみと伝わってくる文章、と言い換えても良い。

    何気ない日常に静かに佇む奇跡のような事象を書き記すことのできる作家というのが確かにいる。堀田善衛はそんな作家の一人だろう。だ

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    2023年11月23日
  • 若き日の詩人たちの肖像 下

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     1936年2月26日、二・二六事件当日の上京から、1943年秋の学徒出陣壮行会後までの時間を切り出した作者の自伝小説。日中戦争・アジア太平洋戦争と続いた「暗い時代」に共に青春を送った、白井浩司、加藤道夫、芥川比呂志、鮎川信夫、田村隆一、中桐雅夫、中村真一郎、加藤周一らとの交流・交友が(仮名ではあるが)分析的な筆致で、しかし濃密に綴られている。先輩作家として井伏鱒二や堀辰雄、芳賀檀も登場する。
     確か学生時代に一度読み始めて挫折した(当時は何が面白いのか理解出来なかった。。。)が、いま改めて読んでみると、何をするにも国家の眼が光り、自分の身体が自分だけでは始末がつけられないことをつねに意識させ

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    2023年08月16日
  • 上海にて

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    上海の魔力に引き寄せられ終戦前後の2年弱を現地で過ごした27歳堀田青年の強烈な体験と、その10年後文学者代表団のメンバーとして上海に訪問した際の去来する思い。日中国交正常化前、文革前の1959年の著。
    国民党共産党列強各国が入り乱れる混乱とカオスの中、著者は加害者日本と被害者中国の間の矛盾や理不尽に義憤し奔走し踏み込み歴史に立ち会っていく。
    中国と対比することで日本の姿在り方も鮮明になってくる。中国人は戦争終結を「惨勝」と表現して現実に対峙し、日本人は惨敗を「終戦」と表現して現実から目をそらそうとした。中国は独立してその後アメリカの対抗勢力となり日本はアメリカに従属した。
    近代以降の中国の混乱

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    2023年08月02日
  • 若き日の詩人たちの肖像 下

    Posted by ブクログ

    戦間期に青春があった時代とはいかなるものか、内容は面白いわけだが、それよりもその軽快な筆致、話法に面白みがあるように思う。けして軽い話ではないのに、どーんと暗い気持ちにならず、クスクス笑ってしまうのも、いいな。

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    2017年09月23日
  • ゴヤ IV 運命・黒い絵

    Posted by ブクログ

    四部作最終巻。「俺はまだ学ぶぞ。」
    老人の域に入っても創作意欲は衰えず、
    最後まで芸術家として生ききった。
    「気まぐれ」、「戦争の惨禍」、「妄」、「黒い絵」と続き、
    最後の絵「ボルドーのミルク売り娘」には眼を奪われた。

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    2015年03月26日

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