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父一人子一人で、大切に育ててきた娘を殺された父親。
「犯人が捕まったとしても、娘はもう戻らない。」
そう悲しみに暮れる男の前に改変者と名乗る少女が現れます。
突然現れた少女は何故かロリっ娘で…。
しかもテンション高めで、「え、ここで突然のギャグパート!?」と戸惑うくらい。
状況にそぐわないハイテンションが不気味に感じます。
改変者はいわゆる「この世界」を俯瞰で見るような存在なのだと思います。
言い換えれば世界の異物と言えるかもしれません。
それを表現するために、ハイテンションなロリっ娘というアンバランスな存在にしたのではないでしょうか。
死んだ人間は戻らない。それが世界の法則です。
ですが改変者が、死んだ娘が戻る法則に改変してしまうのです。
罪を犯した人間を罰すれば、失われた人を取りもどすことができる。
つまり、娘を殺めた人間を殺せば娘が生き返る。
そういう世界に変わったのです。
(ただし犯人が自殺や自然死してしまった場合は戻りません。)
男は半信半疑ながらも犯人を捜し襲いかかります。
殺されそうになった犯人が
「犯人の心の闇とか生い立ちとか知りたくないですか?本を出版するから生きさせてください」と命乞いをするのですが、
男は
「それが何の役に立つんだ!?犯罪予防ができたり被害者が救われるのか!?」
と冷めきった顔でとどめをさすのです…。
そして、そこには生き返った娘の姿が…!!
現代の犯罪と無関係な人の好奇心を皮肉った印象的なシーンです。
しかし、ここでまた改変者から告げられるのです。
「この法則は他者にも適用されます」
つまり、この父親が誰かに殺されれば、娘を殺した犯人が生き返る。
それを防ぐには、父親が自然死するか自殺するしかありません。
娘を救った存在でありながらも、殺人者でもあるのです…。
この事をキッカケに世界は大きく変化し、司法も改正され「蘇柱執行法」が制定されるのです。
物語は、薬物中毒者に娘を殺された父親や、死刑反対派の家族、過去に殺人を犯した男など、様々な登場人物を中心にオムニバス形式で展開していきます。
それぞれ状況や抱く思いが異なり、様々な視点を思い知らされます。
この作品は、鬱マンガを描かせたら右に出るものがいない『なるたる』『ぼくらの』の鬼頭莫宏先生が原案を担当され、鬼頭イズムを継承したかのような繊細かつ丁寧(さらには萌えも!)な絵柄のカエデミノル先生が描いています。
一見難解で重く思える物語を、先に述べた改変者や物語のテンポの良さでスルっと読ませる手腕はさすがのひと言に尽きます。
私、この作品を読み終わった後、思わず小躍りしました。
あまりに面白くて。
私の大好きな鬼頭ワールドが読めて最高に嬉しいです。
どの物語も、読んだあと心にズシンと残るものがあります。
それはハッピーなのか、アンハッピーなのか…
どちらとも言えない複雑な思いでした。
読んだ後、みなさんの心に残る思いはどういったものでしょうか?
是非その思いをじっくり味わってみてください。
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