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「サッちゃん」「ねこふんじゃった」などで、世代を超えて愛される童謡詩人・阪田寛夫は、また、片隅のささやかな人生をあえかな情感と上質のユーモアで描く稀有なる小説家でもあった。脳溢血で倒れた作曲家の叔父の滅びゆく肉体を凝視しつつ、その内で鳴り続ける最後の音楽を哀惜こめて書き留めた表題作、ほか9篇。初期作「平城山」から遺稿「鬱の髄から天井のぞく」まで、「含羞の詩人」の知られざるペーソス溢れる、デビュー作から遺稿まで50年に亘る名品を精選。
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Posted by ブクログ
表題作は生きているということの尊さが、本当にしみじみと胸に迫る作品。 読み終わってから出始めた涙がしばらく止まらなかった。 死を題材にとった小説、作中に人物が死に、死ぬことで大団円に向かう小説は星の数ほどあるけれど、 誰も死なないこの一短編よりも、命の尊さについて表現しきったものがひとつでもあるか...続きを読むな?と思います。 物語の仕掛けとしての登場人物の死ではなく、何十年という人生を近くで生きてきたかけがえのない一人の人間の病と命をみつめた作品。 掛け値なしに名作です。
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